キヤノン「RF100-300mm F2.8 L IS USM」で鉄道を実写！手持ち撮影も流し撮りも十分いける

100〜300mmをF2.8通しで実現したフラッグシップズームレンズが登場。キヤノンが誇る単焦点Lレンズの画質と高速AF、強力な手ブレ補正を追求した大口径望遠ズームレンズ「RF100-300mm F2.8 L IS USM」を、鉄道撮影の現場で検証した。

キヤノン RF100-300mm F2.8 L IS USM 実写レビュー — キヤノン EOS R3 ＋ F100-300mm F2.8 L IS USM

憧れの「サンニッパ」がズームレンズになった！

キヤノンから驚愕のフラッグシップズームレンズ「RF100-300mm F2.8 L IS USM」が発表された。鉄道写真においては年々線路際の安全対策が強化されて、安易に列車に近づきづらくなっている。その結果、レンズの使用域が長焦点化する傾向にあり、もはや300mmは標準と言えるほど使用頻度が高い。また高速シャッターが必要となる場面が多いので、明るい開放値はとても魅力的だ。試作機を借り受け、さっそく沿線へ出掛けた。

収差を抑えたキレのある描写と良好なボケが素晴らしい

合焦部の解像度とシャープネスは、単焦点Lレンズに勝るとも劣らない。フラッグシップを名乗るに値する優れた描写性能だ。ボケは素直で柔らかく、滑らかにぼけていき、ズームレンズであることを忘れさせられる。

遮光効果が高い大型フードが付属する

大型の専用レンズフード「ET-124」を装着すれば、斜光によるフレアやゴーストなどの抑制効果が期待できる。また、見た目の魅力も増して、迫力ある外観になる。

手持ち撮影でも抜群の安定感

まず、ホールド感はどうだろうか。「EF300mm F2.8L IS II USM」と比べて全長が約75mm長くなっているという。だが重量は240gしか重くなっておらず、バランスの良さとレンズ単独で約5.5段、「EOS R3」との協調制御により約6段の手ブレ補正効果が得られ、手持ち撮影での安定感は抜群だ。

夕暮れ時の駅の光景を手持ちで軽快に狙う

日没直後、ブルーモーメントの時間帯で、シャッター速度は1/15 秒。停車時間わずか数十秒の電車を素早くフレーミングするため、手持ちで撮影した。「EOS R3」との組み合わせによる約6段の手ブレ補正効果を実感した。

重量バランスが良く手持ち撮影も十分可能

適切な重量配分によるバランスの良さと優れた手ブレ補正効果により、大口径でありながら手持ち撮影が容易に行なえる。慣れてくれば、流し撮りも違和感なくできるようになった。

単焦点Lレンズに迫る高画質、まさに最高峰の望遠ズーム

肝心の画質はというと、単焦点Lレンズに肉薄する極めて高い描写性能を示し、滑らかで柔らかいボケ味も心地良かった。これはズーム全域で実現されており、またエクステンダーとの相性もすこぶる良い。ただ、やはりズームレンズの宿命だろうか、中間焦点域でごくわずかなディストーションが見られた。これは画面に水平・垂直線の多い鉄道という特殊な被写体のため、少し条件がシビアだったかもしれない。

いずれにしてもフラッグシップズームレンズを謳うだけのポテンシャルを十二分に備えた、まさに最高峰のレンズと言って間違いない。あと不足があるとすれば、このレンズを自在に振り回せる己の腕力ぐらいだろうか。

2基のナノUSMが迫り来る列車を高精度に捕捉

フォーカシングレンズ群と、収差補正のためのフローティングレンズ群を個別に駆動するため、ナノUSM (超音波モーター) を2基搭載。高速・高精度なAFを実現し、列車がフレームアウトするまで的確に合焦し続けてくれた。

5種類のスライドスイッチで各種機能を操作

手ブレ補正機能のON/OFF や手ブレ補正モード、AF/MFの切り替えなどを行なうための5種類のスライドスイッチが、鏡筒の左側面に集中して並ぶ。もちろん防塵・防滴構造だ。

過酷なフィールドでも安心の堅牢モデル

耐久性・堅牢性の向上と軽量化を両立。マウント部、スイッチ部、操作リングなどに防塵・防滴構造を採用。レンズの最前面には油や水滴が付着しにくいフッ素コーティングを施している。

フラッグシップズームにふさわしい光学性能

レンズ構成は18群23枚。蛍石レンズ1枚、UDレンズ4枚、ガラスモールド非球面レンズ1枚を採用し、ズーム全域で色収差を抑制。単焦点Lレンズに匹敵する画質性能が得られる。

2倍エクステンダーで200-600mm F5.6ズームに！

「EXTENDER RF1.4x / RF2x」に対応。「RF2x」を組み合わせれば200-600mm F5.6ズーム、「RF1.4x」なら140-420mm F4ズームとして使える。

エクステンダーで超望遠の圧縮効果を引き出す

エクステンダーの装着を前提に設計されているため、相性はバッチリ。「EXTENDER RF2x」を装着しても開放値はF5.6と明るい。これほど高スペックな200-600mmズームはほかにないだろう。AFの追従も単体時に劣らず俊敏で不満はない。