寺下雅一さんの写真集『旅のたまゆら 1981-1988』が発売された。
写真集を手に取ると、ずしりと心地よい重さを感じる。裏表紙を開くと実際に使われた北海道周遊券が見開きで印刷され、この写真集が誘う旅に期待感が膨らむ。
寺下さんは大学生のころから8年ほど、全国を巡り、鉄路の周辺にあった人と風景を黒白写真に収める。その歳月は国鉄が終焉に向かう日々であり、時代が大きく変わるころだった。
鉄道写真としても貴重だが、それだけにとどまらない魅力がある。写真に記録された時代の空気や匂いは圧倒的だ。
■収録路線
宗谷本線、天北線、羽幌線、深名線、名寄本線、函館本線、留萠本線、歌志内線、三菱石炭鉱業大夕張鉄道線、釧網本線、根室本線、津軽鉄道、五能線、南部縦貫鉄道、奥羽本線、赤谷線、磐越西線、日中線、蒲原鉄道、鹿島鉄道、筑波鉄道、飯山線、上田交通別所線、山陰本線、一畑電気鉄道、島原鉄道、高千穂線、鹿児島交通枕崎線
寺下雅一写真集『旅のたまゆら 1981-1988』
体裁 B4判変型・184ページ
価格 4,950円(税込)
発売日 2023年8月3日
発行 現代書館
寺下雅一 (Masakazu Terashima)
1962年、東京生まれ。立教大学法学部法学科卒業。学生時代より全国各地のローカル線、風景、生活習俗を撮り続ける。最近では海外にも取材対象を広げている。
〈文〉市井康延