夜景は人気のある撮影ジャンルだが、昼間の撮影に比べて設定が難しそうだったり、機材やアクセサリーの選び方がわからなかったりして、まだ撮ったことがないという方も多いだろう。そんな不安を解消し、失敗せずきれいな夜景写真を撮るコツをお伝えしよう。
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- イルミネーションをさらにキラめかせる撮影術
手持ちも可能になってきたが、可能なら三脚を使用したい
画質的にきれいな夜景写真を撮るなら、なるべく低いISO感度で三脚を使った長秒露光が基本。絞りやISO感度の組み合わせで数秒以上の露光時間で撮ろう。
また、開放絞りから2〜3段絞って撮ることで、画像の隅々までシャープに描写される。私は絞り優先オートで、ズームレンズを使いF8〜11あたりを常用し、暗ければISO感度を上げて対応する。三脚はブレを防ぐ大切な機材なので、体力と相談してなるべく大きなものを選ぼう。これから購入するなら、自分が考えているものよりひと回り以上大きなものが、後々、最適な選択になることが多い。
① 低い位置から撮ると幻想的な水鏡夜景に
海や川に比べて、浅い水溜りは水面が鏡のようになりやすい。ライブビューで構図を確認しながら、水溜りに浸かる寸前までカメラを下げて撮ると効果的。低位置で撮れる三脚を使うか手持ちで撮影しよう。
② 露光を長秒にするほど光跡が長く多くなる
夜明けの富士山と中央自動車道の光跡を、バルブタイマー機能で120秒の露光時間で撮影。下の写真は60秒だが、その差は明らかだ。まず短い露光時間で試し撮りをして露光時間を決めていこう。
■120秒
■60秒
③ HDR機能で異次元のような雰囲気を演出
カメラに内蔵されたHDR機能を使えば、手軽にダイナミックレンジが広くなり、異次元感があふれる夜景が撮れる。発色のいい仕上がり設定などを使うとさらに効果的。これはキヤノンの「油彩調」で撮っている。HDRはあとから現像で作成してもいい。
■HDRで撮影
■通常撮影
④ 望遠レンズでクロス効果を作る裏技
望遠レンズではクロスフィルターを使うと画質が低下しやすいので、私は100円ショップで買った約15cm四方の小さな金網を利用する。これなら網以外は素通しで画質低下の心配もない。
■100均の金網を活用
フードの上端に付けたクリップに網を差し込むだけで設置も簡単。
⑤ 最近は手持ちでも無理なく夜景が撮れる
渋谷の交差点で、通行のジャマにならないように背中を街灯の柱に付けて、歩行者信号が青になった直後に手持ちで撮った。人々は遅いシャッター速度で多少ブラしたほうが、街に動感が生まれ、さらに対比で静止する夜景も際立つ。
手持ち撮影はブレに注意! その場で確認を
三脚が使えない場面では手持ちで撮るのも可能。最近は「手持ち夜景」モードが搭載されていることが多いし、ISO感度を上げて「手ブレ補正」機能を効かせれば、絞り優先オートなどでも撮れる。ただしブレやすい撮影環境なので、撮影後はなるべくその場で、モニターの最大倍率で確認しよう。
このほかの現場の状況に合わせて応用できる設定やアクセサリーを紹介したが、ほかにもアイデアは無限にあるはず。皆さんも夜の街でいろいろと試行錯誤してみてほしい。
川北茂貴さんが愛用している夜景撮影機材の例
- キヤノン EOS R5
- RF24-105mm F4 L IS USM
- RF14-35mm F4 L IS USM
- RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
- RF800mm F11 IS STM
川北流・撮影と設定のポイント
- カメラ機材は昼の撮影と変わらない。
- 三脚はできるだけ大きくしっかりしたもの。
- ISO感度や絞り値の組み合わせで長秒撮影。
- ホワイトバランスはまずは白色蛍光灯から。
- RAWで記録し、あとから自分好みに色を調整する。
- 肉眼よりも明るめに仕上げると見栄えが良くなる。
- フィルターはフレアの原因。レンズには何も付けない。
<2023.12.22>
記事初出時に掲載しておりましたザ・タワー横浜北仲の無料展望スペースは、三脚の使用が禁止となっておりますため削除いたしました。ご迷惑をおかけいたしましたことを謹んでお詫び申し上げます。