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場所も時間も違う写真のどこがリンクしている? 想像が膨らむ下園啓祐写真集『チューイング ロックンロール』

新しい表現者を世に送り出す。スプリングインクが主催する「写真出版賞」の第7回大賞受賞者である下園啓祐さんの写真集『チューイング ロックンロール』が出版された。

下園啓祐『チューイング ロックンロール』

■収録作品ギャラリー (タップ/クリックで拡大します)

 

好きなことを形にして発表すると、そこからコミュニティーが生まれて何かが始まる。この賞は紙の本の魅力を伝え広げていく写真賞だ。

下園さんはアパレル業界から、ウェディングフォトグラファーに転身。海外からのオファーや、広告、料理など幅広い分野で撮影を行なっている。この賞へは「写真集を作りたいし、木村伊兵衛写真賞が夢だったので、チャンスだと思い応募した」という。

仕事以外では時折、友人を被写体に作品づくりを試み、旅先でのスナップ、日々の記録などを撮りためている。「別の目的で撮影した写真が、ある日つながっていることに気づきました」と下園さん。それがこの写真集のきっかけだ。視覚的な要素だったり、その瞬間の物語がリンクし共鳴していたりする。「組み合わせは幾通りもあり、つながるたびに新しい感覚が生まれます」

下園啓祐『チューイング ロックンロール』
写真集より

対、カップルをテーマにセレクトした写真は、見る人によって違う世界が立ち上がる。あえてそう楽しめるように、写真はシャッフルしたような配置を試みたそうだ。

下園さんは年間100件を超すウェディング撮影を通し、自らの撮り方を身に着けていった。二人が自然にその場を楽しむ環境を作り出し、「将来に残したい瞬間を見逃さない」。数多くの幸せな時間を見つめてきたフォトグラファーが紡ぎ出したイメージが写真集で並ぶ。

下園啓祐『チューイング ロックンロール』

体裁 A5判・128ページ
価格 1,870円(税込)
発売日 2023年11月28日
発行 みらいパブリッシング

 

下園啓祐

下園啓祐 (Keisuke Shimozono)

写真家。大学卒業後、アパレル業界で働く中で、既製品ではない “ものづくり” に惹かれるようになる。その後、自身も何かの作り手になりたいと模索を続ける中で、写真の世界に出会う。温かく自然な雰囲気でありながらもどこか洗練された、唯一無二の魅力を持つウェディングフォトが評判を呼び、海外での撮影や広告写真などにも活躍の幅を広げている。2018年、イギリスのフォトコンテスト SWPP (Society of Wedding and Portrait Photographers) で日本人初のPhotographer of the Year (Wedding Day – Bride or Groom Alone 部門) を受賞。国際フォトコンテストでの受賞歴多数。
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〈文〉市井康延