深澤武さんの写真集『にっぽん桜めぐり』が発売された。
■収録内容 (タップ/クリックで拡大します)
国内に自生する桜は10種ほどで、交配による栽培品種は数百を数える。本書は全国の桜の風景を紹介しながら、桜についての歴史やエピソードなどを網羅した。これまでに数多くの桜の写真を見てきたはずだが、これだけ多くの種類があるとは気づかずにいた。絶景はもちろん、散歩道や里山、夜桜など11に分けて見せている。
「歴史に咲く」では沖縄の今帰仁城跡、福井の一乗谷朝倉氏遺跡、北海道・五稜郭などの桜を選んだ。その場所が持つ歴史的な物語と桜の神秘性が合わさり、想像力がかき立てられる。京都には桜守と呼ばれる人がいて、円山公園にある枝垂桜の実生を育てた。栽培品種が広まったのは氏の功績だそうだ。親鸞聖人が馬をつないだ故事にちなんだ駒繋、花が低い御室有明はお多福桜の別名もある。
「時間を旅する」では鹿児島・奥十曽のエドヒガン、福岡の虎尾桜など推定樹齢600年を経た古木たちを紹介。知るほどに思いは強まる。桜の季節に、本書で楽しみながら桜学を学ぼう。
深澤 武『にっぽん桜めぐり』
体裁 A5判・160ページ
価格 2,750円(税込)
発売日 2024年2月11日
発行 青菁社
深澤 武 (Takeshi Fukazawa)
1974年、埼玉県生まれ。東京理科大学工学部電気工学科卒。穂高岳など北アルプスの山々に憧れ、山歩きをしながら風景写真を撮り始める。北は利尻山、南は宮之浦岳 (屋久島) まで取材。2004年から全国の桜取材をスタートし、毎年新たな桜との出会いを求めて旅を続けている。近年は奄美群島や琉球諸島にて「黒潮に育まれた生命」をテーマに風景や生物の撮影も行っている。公益財団法人 日本写真家協会会員。
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〈文〉市井康延