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看護師と二足のわらじを履く写真家が北海道の動物たちを撮った 半田菜摘写真集『カムイ』

半田菜摘さんの写真集『カムイ』が発売された。

半田菜摘『カムイ』

■収録内容 (タップ/クリックで拡大します)

 

看護師と写真家の二足のわらじを履く半田さんの2冊目の写真集。北海道に住む野生動物たちの姿を捉えた写真は、どれも色鮮やかで、生命の躍動感が伝わってくる。川に沈み、顔を水面から出したエゾシカの亡骸 (川や谷沿いでよく見かけるそうだ) も、死の影より新たな生命につながる輪廻の風景として目に映る。

撮影では季節や獣が発する匂い、自然の音、微かな生き物の気配などを感じ、食痕や羽などのフィールドサインから出会いのヒントを得る。月明りしかない森の中に入ると、恐怖心にとらわれる。それは「自分の命がむき出しになっている感覚」だという。

半田さんは動物たちに自らの存在を気取られずに撮影することを第一に考え、警戒した姿は撮影しない。危険を感じたとき、エゾシカは尻の毛を逆立て、フクロウは身体を縮める。その成果は本書を見て確認してほしい。写真には撮影時のエピソードや、アイヌ語での呼び名、アイヌの人たちの知見が紹介され、写真の味わいをより深めている。

半田菜摘『カムイ』

体裁 228×228mm・152ページ
価格 2,970円(税込)
発売日 2024年2月19日
発行 日経ナショナル ジオグラフィック

 

半田菜摘 (Natsumi Handa)

1986年、北海道旭川市生まれ。2013年より写真を始める。看護師として病棟勤務する傍ら、夜勤明けや休日に公園や森、山に入り、北海道に暮らす野生動物を撮影。作品をSNSや写真展で発表するほか、フジテレビ系列のドキュメンタリー番組「セブンルール」に出演。雑誌、企業広告、カレンダーなどに幅広く作品を提供している。写真集に『ピリカ』(エイアンドエフ)。
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〈文〉市井康延