ソニーは、フルサイズミラーレス一眼カメラのフラッグシップモデル「α1 II」と大口径標準ズームレンズ Gマスター「FE 28-70mm F2 GM」を発表した。発売はいずれも2024年12月13日で価格はオープン。市場想定価格は「α1 II」が990,000円前後、「FE 28-70mm F2 GM」が500,000円前後(いずれも税込)となっている。
■画質・スピード・AF認識性能が進化した第2世代のフラッグシップモデル「α1 II」
「α1 II」は「α1」(2021年3月発売)の後継機となるモデル。イメージセンサーには有効約5010万画素のメモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSセンサーExmor RS(エクスモア アールエス)を搭載する。画像処理エンジンにはBIONZ XR(ビオンズ エックスアール)を採用し、高解像と広いダイナミックレンジを実現した。これにより15ストップの広ダイナミックレンジを実現(静止画)。さらに中〜高感度域での低ノイズを実現した。また最高30コマ/秒のブラックアウトフリーAF/AE追従撮影が可能。高速連写中にも最大120回/秒のAF/AE演算を行うことで、複雑な被写体の動きに追随する。
AIプロセッシングユニットの搭載により、リアルタイム認識AFが進化した。人物の瞳の認識性能が「α1」より約30%向上し、姿勢推定技術による処理で、瞬時に人物の頭部や胴体を認識。顔が見えないシーンなどでも認識性能が大幅に向上している。
さらに動物・鳥・虫・乗り物(自動車、電車、飛行機など)も認識して捉え、的確に追随し続ける。また「オートモード」を新たに追加し、カメラ側で自動で認識対象を切り替えることができるようになった。
連写中に最高30コマ/秒まで加速できる「連写速度ブースト」、最大1秒前までさかのぼっての撮影が可能な「プリ撮影機能」なども搭載されている。
プリ撮影の設定画面。最大1秒までのプリ撮影ができる。
プリ撮影時の画面表示。緑色の帽子のようなマークがシャッターレリーズの瞬間で、その前の撮影を開始していることを示している。
レーティングでプリ撮影した画像に星印を設定できるので、どこまでがプリ撮影したものかを確認することも可能だ。
背面の液晶モニターは3.2型で、自在に角度を調整できる4軸のマルチアングルとなっている。ボディ重量が約737gから約743gへとわずかに重くなっている一因にもなっている。
グリップの大きさやシャッターボタン、カスタムボタンの位置などは、人間工学に基づいた設計のエルゴノミクスデザインを採用したことで、『α1』から改善されている。
カメラ前面にはカスタムボタン(C5)が新たに追加されている。
AFのフォーカスエリアの「スポット」に、XLとXSを追加。 従来のL・M・Sと合わせて5つのサイズから選択できるようになった。
また「カスタムフォーカスエリア」が新規に追加され、サイズと縦横比を任意で変更してカスタマイズすることができる。
コンポジットRAW撮影では、従来からの「ノイズ低減用撮影設定」に加えて約1億9900万画素の画像を生成する「ピクセルシフトマルチ撮影」ができるようになった。静止画撮影時の光学式手ブレ補正は最大8.5段(中心)、7.0段(周辺)で、新たにダイナミックアクティブモード(動画撮影時)にも対応した。
有線LANは新たに2.5GBASE-Tに対応する。別売の5G対応ポータブルデータトランスミッター『PDT-FP1』との組み合わせでも安定したデータ転送を行うことができる。撮影したデータはCreators’ Cloudのクラウドストレージから「Adobe Lightroom」や「Google Drive」に自動転送することもできるようになった。
カードスロットを2基搭載し、いずれもSDカード (UHS-I/II対応) とCFexpress Type Aカード用のマルチスロットとなっている。
「NP-FZ100」を2個同時に充電できるバッテリーチャージャー「BC-ZD1」、視認性を高めるアイピースカップ「FDA-EP21」が同梱される。アイピースカップ「FDA-EP21」を装着した状態の「α1 II」。
左がアイピースカップ「FDA-EP19」、右が「FDA-EP21」を装着したもの。どちらも同梱される。
■プロの使用感をレポート
発表されたばかりの「α1 II」と「FE 28-70mm F2 GM」を体感できる「α SPECIAL EVENT 2024」の会場でセミナー講師を務める2人のプロに使用感を聞いた。
水谷たかひとさん
「α1」の完成度が高くて、もうやることがないだろうと思っていたが、「α1」に「α9 III」の技術を投入して完成度が増した。正統進化したように思う。スポーツシーンではフォーカスエリアが自由に変えられるカスタマイズや「プリ撮影機能」が便利。これまで撮れなかったシーンが撮れるようになった。
小橋 城さん
一言で言えば安定感が増した。特にAF性能の向上はすごい。遠くにいる被写体でも捕捉し続けることができるし、人物が交錯するようなシーンでも狙った被写体からピントが外れない。AIプロセッシングユニットを搭載したことで、「α1 II」では確実に撮れるという信頼のおけるカメラになったと感じた。
■アクセサリー
アイピースカップ「FDA-EP21」
「α1 II」をはじめ「α1」「α9III」「α7R V」「α7 IV」「α7S III」などの機種にも装着できる。希望小売価格は2,750円(税込) 2024年12月20日発売
縦位置グリップ「VG-C5」
装着時の本体との一体感が増した縦位置グリップ「VG-C5」は、「α9III」にも対応する。バッテリーを2個装着可能で、長時間の撮影をサポートする。
希望小売価格55,000円(税込) 発売中
シャッター周りにあるダイヤルやボタン類の配置はほぼ同じで、縦位置にしても違和感のない操作性を実現している。
■『α1 II』の主な仕様
有効画素数 静止画時: 最大約5010万画素、動画時: 最大約4200万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.9 x 24.0 mm)、Exmor RS CMOSセンサー
マウント ソニーEマウント
検出方式 ファストハイブリッドAF (位相差検出方式 / コントラスト検出方式)
測距点数 静止画時: 最大759点 (位相差検出方式)、動画時: 最大759点 (位相差検出方式)
認識対象 オート、人物、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機
ISO感度 静止画撮影時: ISO 100 – 32000 (拡張: 下限ISO 50、上限ISO 102400)、AUTO (ISO 100 – 12800、上限/下限設定可能)、動画撮影時: ISO 100 – 32000相当、AUTO (ISO 100 – 12800相当、上限/下限設定可能)
シャッター速度 電子シャッター: 1/32000-30 秒、メカシャッター: 1/8000-30 秒、バルブ、動画撮影時: 1/8000-1 秒
ファインダー 1.6 cm (0.64型)電子式ビューファインダー (Quad-XGA OLED) [総ドット数]9 437 184 ドット [倍率]約0.90倍 (50 mmレンズ、無限遠、-1 m-1)
液晶モニター 8.0 cm (3.2型) TFT駆動(タッチパネル) [角度調整機能]開き角度: 上約98 °、下約40 °、横約180 °、横開き位置での回転約270 °
手ブレ補正機能 イメージセンサーシフト方式5軸補正 (補正方式はレンズ仕様による)、中央8.5段・周辺7.0段(静止画時)
カードスロット SD (UHS-I/II対応)カードとCFexpress Type Aカード用マルチスロット×2
サイズ(幅×高さ×奥行き) 約136.1 x 96.9 x 82.9 mm
質量 約658 g (本体のみ)/約743 g (バッテリー、メモリーカードを含む)
■大口径標準ズームレンズ Gマスター「FE 28-70mm F2 GM」
αレンズ初となるズーム全域で開放F値2を実現した「FE 28-70mm F2 GM」。単焦点レンズに迫る高い解像性能と自然なぼけ描写を両立した。
超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズ3枚、スーパーED(特殊低分散)ガラス3枚とEDガラス1枚を効果的に配置することで、諸収差を低減。ズーム全域で画面中心から周辺部分まで高い解像性能を実現する。また新設計の11枚羽根円形絞りユニットを採用し、開放から2段絞ったところでも高い円形形状を保つことができる。
ズーム全域F2の大口径ながら、最大径92.9mm、長さ139.8mm、質量約918gの小型・軽量設計となっている。4基のXD(extreme dynamic)リニアモーターと最新の制御アルゴリズムにより、高い応答性を実現しながら、フォーカス時の振動や作動音も低減されている。
レンズ右側面にはズーム操作感切り換えスイッチを備える。
レンズ上部と左側面にはフォーカスホールドボタンを装備して操作性も向上した。
■『FE 28-70mm F2 GM』の主な仕様
型名 SEL2870GM
マウント ソニーEマウント
対応撮像画面サイズ 35mmフルサイズ
焦点距離 28〜70mm (APS-Cカメラ装着時の35mm判換算42-105mm相当)
開放絞り F2
最小絞り F22
画角 (対角) 75゚-34゚ (APS-Cカメラ装着時54°-23°)
レンズ構成 14群20枚
絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 0.38m
最大撮影倍率 0.23倍
フィルター径 φ86mm
最大径×長さ φ92.9 x 139.8mm
質量 約918g
付属品 花形フード ALC-SH182、レンズフロントキャップ ALC-F86S、レンズリアキャップ ALC-R1EM
■先行展示情報
「α1 II」と「FE 28-70mm F2 GM」の先行展示は11月23日から。ソニーストア 銀座をはじめ、札幌・名古屋・大阪・福岡天神の各ソニーストアで行われる。