『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2025年1月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の須藤絢乃先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉須藤絢乃
誰かの視線
長井裕菜 (大阪府松原市 / 17歳 / 大阪府立生野高等学校)
この不可解な状況に対して、解読の余地がない写真です。答えが出ないからこそ、一度見見てしまったらそれからずっと気になってしまう。手前の人物も、こちらを見つめる少年も一体どこの誰なのか? 知りたいようで、知らないままの方がずっと面白いかもしれない。ほかの作品ももっと見てみたいと思いました。
おこるなよ
加藤希里也 (新潟県長岡市 / 16歳 / 中越高等学校)
現代に生きるほとんどの人が今やカメラに撮られるという行為に慣れている。カメラを向ければ、自分がどう映るかを即座に想定し、一瞬にして写真に映るための表情に変えることができる。この写真はその真逆で、現代の写真ではなかなか見ることのできない一瞬の絶妙な表情が捉えられている感じがしました。アニメ『北斗の拳』の主人公の名セリフ「お前はもう、死んでいる」ではないけども、被写体が「撮られている」と認識する前の一瞬の隙を狙った撮影者の瞬間技。お見事です。
光と影の狭間で
則𠮷芙柚 (神奈川県川崎市 / 15歳 / 川崎北高等学校)
世間一般が言う、いわゆる「盛れている」写真とは言えないかもしれないけども、光と影の狭間にある揺らいだ光がとてもきれいで、その感覚を写真に絶対に残したかったという気持ちがこの作品から伝わってきます。このキレイだと思った一瞬に生まれた感性をずっと大切にこれからも制作をしてほしいものです。今まで見たことのない綺麗な新種のお花が咲いた瞬間のような写真ですね。