ライカ使いの斎藤巧一郎氏が、最新の「ライカSL3-S」をバッグに詰め、中国地方から九州を旅して回った。階調再現に優れた画質と軽快な撮影が旅スナップに好適。Mレンズが楽しめるのも魅力だ。
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2025年1月25日発売 913,000円 (税込)
LEICA SL3-S × 斎藤巧一郎
御輿来海岸の夕日を階調豊かに描く
夕日を画面内に収めたが、淡い雲の残る空、遠くの島影も美しく描写している。「ライカSL3-S」が搭載する2400万画素の裏面照射型センサーは、階調の広さが特徴で、輝度差が大きい被写体でもハイライトからシャドーまで繊細に再現する。
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Mレンズを装着してシャープに捉える
嚴島神社で出会った鹿の親子。最新のMレンズを、L用Mレンズアダプターを介して「ライカSL3-S」にセット。鹿の繊細な毛並みがわかるほどの解像感と画像周辺まで均一な明るさが得られ、Mレンズと「ライカSL3-S」のマッチングの良さがわかる。
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最新の画質とAFを備えた、旅に連れて行きたいライカ
「ライカSL3」の進化を受け継ぎ、動画撮影機能を充実させた「ライカSL3-S」が誕生した。新開発の2400万画素裏面照射型センサーと、最新の画像処理エンジン LEICA MAESTRO IVを組み合わせ、高速でハンドリングの良いカメラに仕上がっている。実際に撮影してみると、ダイナミックレンジの広さを実感した。
AFシステムはコントラスト検出とデプスマップに位相差検出を追加。人物認識に加え動物認識にも対応するので、今回の撮影旅行でも重宝した。連写性能は電子シャッターにより30コマ/秒を実現し、動体撮影にも強い。
「ライカSL2-S」と同様に、動画撮影を得意としていて、6Kオープンゲートでの撮影が可能となり、画質劣化のない動画編集ができる。HDMI端子やオーディオ端子も備えているので、高性能なライカレンズによる本格的な映像制作の現場で活躍しそうだ。
外観デザインは「ライカSL3」を踏襲し、LEICAロゴはブラックにペイントされた。「ライカSL2-S」よりも少し小さく、軽量化され、背面モニターはチルト式を採用。グリップが握りやすくなり、カメラをしっかり保持できる。ダイヤルやボタン類が少なく、背面モニターと左右ダイヤルで各種設定を行なうが、ユーザーインターフェースはわかりやすかった。
堅牢性が高く、美しいボディはさすがジャーマンメイド。ミラーレス一眼も手に入れたいライカMシステムユーザーや、個性的な高性能カメラを求めている方におすすめしたい。
高性能なMレンズを活用できる
ライカSLシステムにMレンズを装着するためのL用Mレンズアダプターを用意。「アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH.」を装着してみたが、バランスも良く、ファインダーも見やすい。
チルト式モニターで自由に撮影
ローポジションから狙いやすいチルト式モニターを搭載。撮影の自由度がアップし、表現の幅を広げられる。手ブレ補正機能により、モニターを見ながらの撮影も快適だ。
撮像素子 有効約2400万画素フルサイズ裏面照射型CMOSセンサー
画像処理エンジン LEICA MAESTRO IV
ISO感度 ISO50~200000
AFシステム 位相差検出+デプスマップ+コントラスト検出
連写性能 30コマ/秒 (電子シャッター)、7コマ/秒 (メカシャッター)
手ブレ補正 5軸手ブレ補正 (最大5段)
ファインダー 576万ドット有機EL、倍率0.76倍 (アスペクト比3:2)
液晶モニター 3.2型233万ドット液晶 (タッチパネル・チルト可動式)
動画性能 C6K・6K/30p、C4K・4K/60p対応
大きさ 幅141.2×高さ108×奥行き84.6mm
質量 約768グラム (バッテリー含まず)
- 斎藤巧一郎 (Koichiro Saito)
- 広告写真家として料理などを中心に撮影しながら、いつもカメラとともに各地を旅している。ライカはレンズの高画質な描写に引かれ、手にして30年以上になるが、近年はライカSLシステムの便利さと、画質の良さが気に入っている。
〈協力〉ライカカメラジャパン株式会社