カメラ専門店などで最近、目にすることが増えてきたEXASCEND (エクサセンド) のメモリーカード。EXASCENDを愛用している写真家の森脇章彦さんに、そのメリットを聞いた。日本ではまだあまり知られていない記録メディアのメーカーには驚きが詰まっていた!
最近名前を見かけるEXASCENDって何?
ハリウッドや宇宙産業で認められた技術を搭載した超高性能な記録メディアを作るメーカーです
── 森脇さんが初めてエクサセンドを意識したのはいつですか?
初めてエクサセンドの記録メディアを見たのはCP+2023の会場でした。当時、僕はカメラや三脚メーカーのブースで講演をしており、次のブースへの移動中に偶然、映画を撮影する高解像度デジタルシネマカメラ「RED KOMODO」の横に置いてあるのを見て、『見慣れない名前の記録メディアがあるなぁ』と思ってパンフレットを手にしたのがエクサセンドとの出会いでした。そして、書き込み性能と信頼性を重視するRED DIGITAL CINEMA社が推奨する記録メディアがエクサセンドであることを知ったのです。
その後、日本総代理店のレイド社から、エクサセンドのカードを借りられる機会があり、いろいろテストしてとても高性能なことがわかりました。それからはカメラ関連イベントなどに、中国から技術者が来るたびに、質問や提案を行なう関係が続いています。

── エクサセンド社についてもう少し詳しく教えてください。
エクサセンド社は、産業用メモリーやコントローラーなどを注文に応じてイチから企画、製造、販売を行なっている会社です。オフィスや工場は中国と台湾にあり、特に信頼性が重視される宇宙産業用やドイツの大手自動車メーカーの産業用メモリー機器などを幅広く手がけています。
日本国内でもゲーム機器や各社のカメラ機器に内蔵される産業用メモリーに採用されています。最近は、業務用だけでなくコンシューマー用の商品として、CFexpress 4.0 Type A&Bカード、UHS-I&II SDXCカードや、パソコンの内蔵用M.2メモリー、外付けSSDなどの販売を始めました。

EXASCENDの驚くべき信頼性
── エクサセンドの記録メディアの特徴は何ですか?
私は『どうしてREDや宇宙産業のメモリーにエクサセンドが選ばれたのか?』が気になり、技術者に聞いてみると『エクサセンドの記録メディアは1枚、1枚、全てを検査している』という答えが返ってきました。製造ロット内の抜き打ち検査ではなく、全製品を検査して出荷するというのはたいへんなこと。
また、宇宙産業などの過酷な現場を考慮して、特に高温な環境で長時間の使用に耐える性能を持たせており、さらにトラブルがあった場合でも、復旧率が非常に高いのだそうです。さすがは失敗の許されない映画や宇宙産業用のメモリーを主体としている会社だなと感じました。
そうした特徴はコンシューマー用商品にも引き継がれていますから、写真家は安心して負荷の高い高速連写や高解像度の動画撮影に挑むことができます。これほど不安なく使用できる記録メディアは、ほかにはないでしょう。

使ってみて実感! EXASCENDの高性能
NITRO PRO CFexpress 4.0 Type Bカード

圧倒的な高速性能と安定性を誇るフラッグシップカードが2025年5月30日に発売!
VPG400対応、pSLCタイプの超高速カード。連続書き込みの安定性が素晴らしい。最新の「NITRO PRO」や「ESSENTIAL PRO」はアルミ製ボディを採用して放熱性を強化。質感も高い。
長時間の8K動画記録も余裕
「LUMIX S1R II」で、スタジオでのジャズセッションを8K/30P動画で撮影した1コマ。「NITRO PRO」は、8K動画記録で高熱になったカメラ内でも安定した動作で記録できるため、とても安心感がある。

アイコンでわかるスペックの高さ
① CFexpress規格
CFexpress規格に沿って作られたカードであることを証明するマーク。CFexpress 2.0と最新のCFexpress 4.0があり、左下の「4」の数字で判別される。
② VPG規格
VPGとはビデオパフォーマンスギャランティーの略称で、動画撮影時の書き込み速度を保証する規格。現在の主流はVPG200とVPG400。安定した8K動画撮影にはVPG400を使おう。
③ READ / WRITE
基本的な性能となる最大読み出し速度と最大書き込み速度。最大読み出し速度が3750MB/s、最大書き込み速度が3400MB/sは驚異的。
④ Sustaind Write
SWは持続可能書き込み速度表示のこと。継続して確実に書き込みできる最低速度を示していて、3300MB/sは、どれだけ使っても最大書き込み速度からほぼ遅くならないということだ。
PCを使って「NITRO PRO 1TB」の性能をチェック!
カードの性能を最大限に生かすためには、高速なカードリーダーを、高性能なPCに接続したい。今回は、PCはマウスコンピューター「DAIV FX-I7G7T」、液晶モニターは「EIZO ColorEdge CG2400S」を使用して実際にテストした。
SuperCruise機能で書き込み速度低下を防止
高速連写や高解像度の動画撮影が続くと書き込みが明らかに遅くなることがある。エクサセンドの全カードはこの現象を回避するスーパークルーズ機能を搭載、速度低下を防いでいる。
ベンチマークの結果も優秀
簡易的に「NITRO PRO 1TB」のベンチマークを計ってみた。リード3351MB/s、ライト3090MB/sという速度が出たのには驚いた。非常に優秀なカードだ。
ラインアップも充実! オススメのEXASCEND記録メディア
ESSENTIAL PRO CFexpress 4.0 Type Aカード

世界中で最も早く2024年にVPG400を取得して発売されたCFexpress 4.0 Type Aカード。3D TLCタイプで、最低継続書き込み速度が1650MB/sと優秀。
ESSENTIAL PRO CFexpress 4.0 Type Bカード

VPG400対応、3D TLCタイプの上級者向けカード。安定した書き込み性能と耐久力を兼ね備え、一番人気の高いカードだ。
ELEMENT PRO CFexpress 4.0 Type Bカード

3D TLCタイプのCFexpress 4.0規格の入門カード。価格が手ごろなので、初めてのCFexpress Type Bカードとして最適だ。
CATALYST SDXC UHS-II (V90) カード

3D TLCタイプを採用したUHS-II V90対応のSDXCカード。販売中のV60タイプの上位カードになる。高速連写撮影や高解像度の動画撮影に向く。
40Gb CFexpress カードリーダー

最大3800MB/sのデータ転送に対応した高速なカードリーダー。プロ用らしくケーブル抜け対策が施されている。写真左下の「CFexpress Type A to BAdapter」(3,080円) を使用すればType Aカードも利用できる。
〈協力〉株式会社RAID