『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2025年6月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の須藤絢乃先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉須藤絢乃
一心同体
中村春香 (沖縄県沖縄市 / 17歳 / 美来工科高等学校 / 写真部)

修学旅行先の台湾での一枚。ふざけ合っているのに、整った左右対称の構図が妙に堂々としていて、不思議な雰囲気を醸し出しています。丸刈りの彼の読めない表情や、蛍光グリーンのマスクなど、見れば見るほど魅力があって、良い味を出しているなと思いました。沖縄の高校生たちの台湾の印象、とても興味があるので、また機会があればぜひ作品を見せてください。
小雨
西田圭佑 (島根県出雲市 / 17歳 / 島根県立平田高等学校 / 写真部)

必死に餌をついばむ群れのなかで、遠くを見つめる一羽のハクチョウ。彼らも、私たちが理解できない感性の世界で、何かを思っているのでしょう。私たち人間の姿を重ねずにはいられない、エモーショナルな一場面ですね。水面を優雅に泳ぐイメージがありますが、こうして湿田の上を歩むたくましい姿を見ると感慨深いです。モノクロにまとめた風景が冬の厳しい寒さをより克明に描き出しています。
あの夏の日
小林結芽 (新潟県長岡市 / 17歳 / 中越高等学校 / 写真部)

川の水の冷たさも感じられるような、キリリとした写真ですね。友達3人に協力してもらった作品とのことですが、わざとらしさがなく、親しい間柄だからこその自然な表情が出ていて、撮影のためというより遊びの延長という感じがしたのが良かったです。右端に人物を寄せた構図も抜け感があり、水の粒と、右端の女の子がかじっている赤いトマトが際立つ画面に仕上がっていると思いました。