
CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」2025年7月の入選作品発表! 今回のテーマは「広角 (~35mm) 写真」。審査員・村上悠太先生の講評とともに紹介します。
今回のテーマ「広角 (~35mm) 写真」
見た目以上に伸びやかな描写が楽しめる広角レンズは、僕が最もよく使うレンズです。広さだけでなく、遠近感を強調したり、車体の形を大胆にゆがめて迫力を出したりと、その使い方は撮り手次第。寄せていただいた作品を見ると、あらためて面白いレンズだなーと感じました。
〈審査員〉村上悠太
Railマイスター「新緑の中を行く」梶原弘輝 (神戸市垂水区)

作者コメント
新緑の中を国鉄型車両が駆け抜けます♪
村上悠太先生の講評
まさに爽快という言葉がぴったりの1枚です。広角のパース強調効果を生かして木々に囲まれているような構図を作り、さらにそこに太陽を配置して臨場感を表しています。雲の形もとてものどかで、この世界観にマッチしています。

入選「旅の始まり」佐浦元泰 (福島県鏡石町)

作者コメント
撮影当日は2代目猫駅長「らぶ」のお別れ会の日でした。私も含め悲しみの中に包まれながら撮影しました。
村上悠太先生の講評
撮影者の心情と視界がうまく表現されています。とても悲しい日だったとのことですが、ぶらした人物から、作者の心境など知らずに世間の時は流れていく、一抹の寂しさを感じました。
入選「青空に」饗庭正志 (神奈川県南足柄市)

作者コメント
天竜二俣駅の腕木式信号機の雄姿を青空と太陽を背にダイナミックに構成しようとカメラを構えたその時、タイミングよく上空に飛行機雲が一筋たなびいてくれました。
村上悠太先生の講評
腕木信号機に太陽を入れたテクニックは見たことがありますが、広角を用いることで迫力ある1枚に仕上がりました。飛行機雲は、もう少し構図内で映える配置があったかなと思います。
入選「山麓の朝露」佐藤一成 (京都府木津川市)

作者コメント
絶景を前に座り込んでみたら美しく輝く朝露に気付き、これしかないという思いで撮りました。田んぼの割合に気をつかいました。
村上悠太先生の講評
徐々に暑くなっていく夏の朝の熱気と湿度、草の香りなどさまざまな要素を想起させる写真です。トーンや構図のバランスも最適で、高い技術力と表現力を感じます。
入選「緑薫る」森本裕之 (東京都府中市)

作者コメント
住宅街にある森の中。緑が美しく高い木々の中を走る京王も珍しいかなと思い、隙間に入れてみました。
村上悠太先生の講評
京王線でこうしたイメージはあまりないだけでなく、「えっ! あの区間で!?」と驚いた写真です。ロケハンとレンズの効果、流し撮りとあらゆる工夫で見つかった新世界です。
入選「トラス橋を行く」稲垣裕一郎 (北海道帯広市)

作者コメント
いつもは遠くから見ているトラス橋に近づいて撮影。予想以上に迫力がありました。
村上悠太先生の講評
青空となびいた雲に冷気を感じます。トラス橋のパターンが印象的ですが、左の橋脚を完全に切ると、橋が不安定に見えてしまうので、ほんの少しだけ入れると良かったでしょう。
入選「和みの季節」佐藤隆之 (横浜市旭区)

作者コメント
この公園では毎年木々の紅葉と落葉によって朱色一色の美しい光景が見られます。ちょうど暑くも寒くもない心地良い空気の中、視覚的にも体感的にも心休まる気分になります。
村上悠太先生の講評
左下の人物がこの写真の世界観を温かいものにしています。広角レンズを使うことで、紅葉の迫力が強調されました。彩度についてはもう少し落ち着かせてもよいでしょう。
入選「フカンから見た京阪電鉄沿線風景」金岡明光 (大阪府門真市)

作者コメント
桜と電車、保線作業員、歩道を行く人々を縦位置で撮影しました。
村上悠太先生の講評
桜もきれいですが、いろいろな人間模様が写し込まれていてとてもユニークです。画面下がシャドーになっており、「ここにも人物がいる!」と発見する楽しさもありました。
入選「お見送り」おどみ岐諷 (徳島県藍住町)

作者コメント
吉野川に架かる鉄橋を渡る列車を、河川敷で犬と遊ぶ家族が見送ります。
村上悠太先生の講評
ドラマチックな情景を広角でうまく1枚にまとめ上げています。一方で、被写体がどれも同じ大きさなので、主題が少しわかりづらい印象があります。画像処理も自然な仕上げを目指しましょう。
入選「大空と大地の中を」中津山悦子 (東京都大田区)

作者コメント
空の青さをダイナミックに撮影したくてフィッシュアイを導入してみました。
村上悠太先生の講評
強烈なレンズ効果で、ただ使うだけでもインパクトが生まれる魚眼レンズに甘えず、車体のギラリを加えた点に引かれました。青空の彩度がかなり高いので気をつけましょう。
村上悠太の “鉄” 視線「山形の春で包み込む」
昨年初コラボとなった山形新幹線E8系と赤湯・烏帽子山公園の桜。千本以上の桜が咲き誇る春の烏帽子山ですが、広角レンズを使って山形の春で新型車両を包み込んでみました。ちょっと不調なE8系ですが、頑張って~!

「TEKKEN!」募集終了のお知らせ
CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」は2025年12月20日の発表をもちまして終了とさせていただきます。作品募集は終了いたしました。
■11月のテーマ「望遠レンズ (100mm〜)」
締切 : 2025年9月30日 (火) ※募集は終了しました
発表 : 2025年11月20日 (木)
■12月のテーマ「秋・冬の鉄道情景」
締切 : 2025年10月31日 (金) ※募集は終了しました
発表 : 2025年12月20日 (土)
■審査員
村上悠太先生 (日本鉄道写真作家協会会員)
■毎月のRailマイスター賞品
サンディスク Extreme PULS 64GB