CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」第4戦の結果を発表します。
スポーツを記録した写真コンテストの原点を感じさせる作品群
記録写真であること。スポーツ写真であること。どちらもレース写真の根幹をなす基本要素です。今回は、そんな「根元」の部分を感じさせてくれる作品とコメントが多く届きました。「流し撮り」という狭義のルールと枠組で楽しんでいただいていますが、そんなモータースポーツ写真の根元要素が「より美しく、より力強く、より繊細に」表現される過程を競い、それを皆で共有しながら楽しむのが「流し撮りGP」なのだと思います。
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔
GP1位「縦列走行」松本康吉 (ルーキー応募)

作者コメント
ゴールまであと少し! もうヘトヘトでしたが、どうしてもこのショットは押さえておきたくて最後に粘ってキメました。快走する松永建設AMG GT3を中心に、ストレートの走りを撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
勝者を意識して写真にすることは、スポーツ撮影として、記録映像として、とても大切なポイントのひとつです。作品は、優勝マシンをしっかりとフォーカスしてピタリと写し止めた見事な流し撮りです。前後のマシンの適度なブレが優勝車を際立て、さらに奥行き感のある長いストレート、グランドスタンドの三角屋根など富士スピードウェイらしい背景で「富士24時間耐久」であることを印象づけています。
GP2位「栄光への道のり」細野 勉

作者コメント
8耐の本番に向けたテスト走行シーンを印象付けようと考えました。斜光を浴びて光る車体が、縁石のカーブに重なる瞬間を狙いました。
小林 稔 審査委員長の講評
構図と光の美しさが魅力の作品です。赤白の縁石が描く緩やかなRラインを滑らかにトレースしてゆくマシン。夕刻の紅の光で演出されたたそがれ感もイイ感じです。現場をよく知り、絵柄を計算し尽くして撮影するベテランならではの落ち着きを感じます。
GP3位「足跡」野中翔平 (ルーキー応募)

作者コメント
コカ・コーラコーナーには、数多くの挑戦の痕跡であるブラックマークが広がっています。それに負けない気迫でもって、縁石を大きく使って走行するマシンを撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
強烈です。力強い作品です。新鮮なアングルです。この高さまで上がって、斜俯瞰気味に見えた路面のタイヤ模様で「コーナー出口の物語」を見事に表現しています。撮影ポジション探しの挑戦と視点の豊かさがしっかりクロスした作品です。
GP4位「Fantastic Riding」拭石 学 (ルーキー応募)

作者コメント
2025年 鈴鹿8耐のテストセッションを撮影しました。DUCATI Team KAGAYAMAのマシンを駆るマーセル・シュロッター選手のライディングはナイトセッションでも素晴らしかったです。レース本番も楽しみです!
小林 稔 審査委員長の講評
真剣な表情で正確無比にマシンを操るライダーの姿がうかがえます。ヘルメットのバイザー越しに選手の目線が写っています。なんらかの補助光が入ってくれる幸運があったらなら! さらにスゴイ作品になったと思います。
GP5位「チャンピオンへの第1歩」青山聖也 (ルーキー応募)

作者コメント
SUPER FORMULAのウイニングランです。ドライバーが喜ぶ瞬間を撮りたくて、限りなく目が合うタイミングを狙って撮影した1枚になります。
小林 稔 審査委員長の講評
カメラ目線の瞬間をしっかり獲得しています。ヘイローの上まで手を上げてくれたシーンと重なり、まさにココゾ!といったタイミングです。写真の太田格之進選手はアクションが大きく、元気でフォトジェニックな選手です。
GP6位「夜間走行」鈴木幸男

作者コメント
ナイトセッションです。ファイルの撮影時刻データは「19:56」とありました。銀塩フィルム時代は諦めていた時間帯が今では疲れも吹き飛ぶくらい楽しい撮影時間に変わりました。ライトで照らされる羽根と縁石、クッキリと写ったメーターがポイントです。
小林 稔 審査委員長の講評
左側に伸びる光の帯が画面全体の緊張感を高めています。それにしても凄まじいシャープさ。ヘルメットのペイント類はおろか、メーター表示がくっきりと読み取れます。さすがです!
GP7位「Good Job!」佐藤弘之 (ルーキー応募)

作者コメント
不運の連続だった岩佐選手が待望の表彰台をゲット! それを祝福する野尻先輩の拍手する姿にジーンときました。
小林 稔 審査委員長の講評
レースの流れを知り、ストーリーをたてて、出会ったシーンで写真にする。コックピットに見える拍手とサムアップの対話シーンは、レースファンならではの「写真ドラマ」に仕上がっています。
GP8位「コーナーワーク」清水 啓

作者コメント
各マシン限られた時間のテスト走行で、自身のラインを確認しながらしっかりトレースしていくのがよくわかる。
小林 稔 審査委員長の講評
この場所と位置、この環境で撮影するフォーミュラ作品のお手本的作品です。真正面から極力低く位置取りする。前後は模様の少ないボケ背景で構成。ヘルメット部を起点にフロントからリアまでをしっかりと描写できる露出設定と柔らかめの光線状態。すべてに計算の効いた、ベテランらしい力作です。