公益社団法人 日本写真家協会(JPS)が、第8回「笹本恒子写真賞」の受賞者を発表。20年にわたり、日本のインフラ、工業、エネルギー、最先端科学など、私たちの暮らしを支える重要な分野を撮り続けている西澤 丞さんに決まりました。

西澤さんは、「見えない仕事を、可視化する。」というコンセプトのもと、一般の人が立ち入ることのできない現場を撮影しています。廃炉作業中の福島第一原子力発電所やJAXA(イプシロンロケット開発と打ち上げ)、大規模地下工事現場など撮影許可がおりにくい場所で長年撮影してきた姿勢と継続性、そして作品の完成度の高さに対して、本賞は贈られました。

誰もやったことのないことをやってみたい。出来ることなら誰も撮っていないものを撮ってみたい。一般の人が立ち入ることのできない場所に行き、まだ見ぬものを撮影したいと西澤さんは考えます。そして、新たな価値観を提示するのが写真家の使命だと。しかし、「道なき道とは、こんなにも大変だったとは……」。
今回の受賞に際して西澤さんは、「この受賞は、一筋の光明であり、今までの活動が間違っていなかったと背中を押していただいたような心持ちだ。私の活動を応援し、関わってくださった全ての方々に、感謝の気持ちで一杯だ。ありがとう!」と。

「笹本恒子写真賞」は、わが国初の女性報道写真家として活躍された笹本恒子氏(1914-2022年)の多年にわたる業績を記念して、実績ある写真家の活動を支援する目的で2016年に創設されました。
今回の選考委員は、写真家の熊切大輔さん(JPS会長)、野町和嘉さん(JPS前会長)、『風の旅人』編集者の佐伯 剛さんの3名。受賞記念作品展は、2025年12月18日~24日にアイデムフォトギャラリー「シリウス」で開催されます。

西澤 丞(Jo Nishizawa)
愛知県出身、群馬県在住。「見えない仕事を、可視化する。」というコンセプトのもと、大企業から職人さんまで、一般の人が立ち入ることのできない現場を撮影中。コロナ禍以降は文章にも力を入れ、よりわかりやすい形での発表を行なっている。自動車メーカーデザイン室、撮影プロダクション勤務を経て2000年よりフリー。主な著作物は『DEMIURGOS』キヤノンマーケティングジャパン、『福島第一 廃炉の記録』みすず書房、『MEGA-SHIP』太田出版、『鋼鉄地帯』太田出版、『イプシロン・ザ・ロケット』オライリー・ジャパン(共著)、『Build the Future』太田出版、『背景ビジュアル資料3』グラフィック社、『首都高山手トンネル』求龍堂、『Deep Inside』求龍堂。