CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」2025年10月の入選作品発表! 今回のテーマは「瞬間 (高速シャッター)」。審査員・村上悠太先生の講評とともに紹介します。
今回のテーマ「瞬間 (高速シャッター)」
肉眼では決して見えない、高速シャッターだけが捉えることができる瞬間の美。動画が主流の現代ですが、この表現方法は静止画である写真ならではのものとも言えます。皆さんが発見したさまざまな瞬間を見ていきましょう!
〈審査員〉村上悠太
Railマイスター「足元からギラリ」布施 剛 (東京都国分寺市)

作者コメント
氷点下の川霧湧く多摩川にて、朝日が車両の下から覗く瞬間を狙いました。
村上悠太先生の講評
多摩を走る中央線の冬の風物詩です。この時間帯に望遠レンズで太陽を狙っていると、驚くほど速いスピードで昇っていくため、列車が来るまで逐一構図や立ち位置の調整が欠かせません。その中でも的確なフレーミングを保ち、最高の瞬間を捉えています。

入選「お帰り!」佐藤隆之 (横浜市旭区)

作者コメント
都心方面から本線に帰ってきたネイビーブルーの12000系と横浜方面から本線を走ってきた10000系が並ぶ瞬間。なかなかキレイに並ばずチャレンジを繰り返し、やっと撮ることができました。
村上悠太先生の講評
時刻に正確な日本の鉄道ですが、お互いの列車が5秒でもずれれば大幅に位置が変わり理想的な瞬間は撮影できません。佐藤さんのコメントにあるとおり、まさに粘って通って撮影できた貴重な写真です。
入選「はなまる」柿崎弘志 (山形県酒田市)

作者コメント
桜が満開の久保田駅。列車を中心で止められるように、速いシャッターを設定しました。
村上悠太先生の講評
桜の枝を工夫して配置し、額縁のように撮影したことで印象的な写真に仕上がっています。列車の色合いも春を連想させて素敵です。車両をアップで狙っているため、ケーブル類が目立つので、引きの構図も見てみたかったです。
入選「西へ急ぐ!」森田 宏 (大阪府東大阪市)

作者コメント
この日最後の残照に染まり、鹿児島を目指す九州新幹線「さくら」です。
村上悠太先生の講評
タイトルの通りスピード感がある写真です。短めのレンズで流線型の新幹線を撮影しているため伸びやかさがあり、雲と車両先頭部のバランスも良い感じです。車両前後の空間が均一なのも気持ちいいポイント!
入選「シャッターチャンス」車 啓司 (東京都荒川区)

作者コメント
JR西日本が誇った500系新幹線のすぐ脇を、この日最後の残照に染まった九州新幹線「さくら」が、足早に鹿児島を目指します。
村上悠太先生の講評
こちらの1枚もまさに瞬間を捉えた1枚です。かつては自身が駆け抜けた本線を後進に譲り、退避する500系の姿が印象的です。コントラストを弱めてシャドーの階調を出していますが、もっと硬調に仕上げてもインパクトが出ます。
入選「朝光」西薗 隆 (奈良県橿原市)

作者コメント
夏の強い朝日に輝く姿を500mmで迫力が出るように狙いました。
村上悠太先生の講評
画面上下をギリギリまで攻めたタイトな構図と、ギラリに特化した切り詰めた露出ワークが決まった1枚です。かなり長めのレンズなので、高速シャッターでなくても写し止められそうですが、これも瞬間の美には変わりません。
入選「シルバーアロー」佐藤詔太 (宮城県多賀城市)

作者コメント
颯爽と駆け抜けていきます。
村上悠太先生の講評
もう見ることができなさそうな桜とE3系のコラボレーション。E3系がのびやかに春のひと時を謳歌しているような写真だと感じました。土手の空間がやや気になるので、桜のボリュームを強調した構図を探してみましょう。
入選「Summer Flowerbed」三浦星夢 (神奈川県藤沢市)

作者コメント
初夏のあじさいが満開の花壇と、爽やかな白いカラーリングの江ノ電とのコラボ。ツァイスレンズのボケも計算に入れて撮影しました。
村上悠太先生の講評
花にピントを合わせ、列車をぼかす場合、列車の存在感が明確にわかるボケ具合に留めるのが最大のポイントですが、この作品はそれが的確でした。ただし彩度がかなり高く違和感があるので、その点は改善するとよいでしょう。
入選「光る秋の旅路」佐藤一成 (京都府木津川市)

作者コメント
ススキの色合いに合わせて国鉄特急色の列車が来るまで待ちました。1時間前の列車では光っていなかった線路も輝き、粘った甲斐があってイメージ通りに撮れました。
村上悠太先生の講評
瞬間を捉えるというのはこういう写真のことなのかなと思った作品です。国鉄型の見せどころを吟味し、大胆な構図に仕上げたことで佐藤さんの個性が光る1枚になりました。ススキのボリュームと列車が対角構図になっているのも素敵です。
入選「VSE点睛」饗庭正志 (神奈川県南足柄市)

作者コメント
精悍な顔つきのVSEの展望席窓に太陽を入れ、眼光輝く瞬間を登場時から何度も狙ってきましたが、運行最終間際にようやく思い描いていた写真を撮ることに成功しました。
村上悠太先生の講評
乗客が被っていたり、カーテンが閉まっていたり、なにより位置が間違っていたら撮影できない、貴重な瞬間です。スマートなフレーミングもセンスを感じます。VSEが地表に埋もれてしまった点だけが惜しいポイントでした。
村上悠太の “鉄” 視線「秋かもめ、駆ける」
この日目覚めると、あたりは西九州では経験したことのない真っ白な霧に包まれていました。車を走らせるのも怖くなるような濃霧の中、線路際で佇んでいると、昇ってきた朝日に温められ徐々に視界は回復。山々にわずかな霧を残した秋の冷気の中をかもめが駆け抜けていきました。

鉄道写真好き集まれ〜「TEKKEN!」作品募集中
CAPA編集部では、鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」を開催しています。毎月の募集テーマに沿って撮影した鉄道写真をどしどしご応募ください。毎月のRailマイスターには、サンディスクのメモリーカードをプレゼント!
募集中のテーマと締切
「TEKKEN!」は2025年12月20日の発表をもちまして終了とさせていただきます。10月31日締切の「秋・冬の鉄道情景」が最後の募集となります。たくさんのご応募をお待ちしております。
■12月「秋・冬の鉄道情景」
締切 : 2025年10月31日 (金) 24:00
発表 : 2025年12月20日 (土)
応募要項
■審査員
村上悠太先生 (日本鉄道写真作家協会会員)
■今月のRailマイスター賞品
サンディスク Extreme PULS 64GB
■応募形態
WEB応募のみ。こちらの応募フォームからご応募ください。プリントでの応募は受け付けていません。
■募集テーマ
毎月20日に翌々月の募集テーマをお知らせしますので、それに沿った内容の鉄道写真をご応募ください。
※テーマにそぐわない写真は審査対象外とします。
※撮影禁止場所や私有地などから撮影した作品は応募不可とします。
■応募点数
1人何点でも応募できます。ただし単写真のみ (組写真は不可)。
■二重応募について
ほかのコンテストなどで入選した作品 (結果発表されていない応募作品も含む) や類似カット、過去に印刷物や写真展 (グループ展を含む) や投稿系サイトなど公の場で発表された作品は二重応募とみなし失格とします。
■締切
毎月末日送信分まで。
■発表
締切日の翌々月20日、「CAPA CAMERA WEB」にて。
→ TEKKEN!入選作品