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国際写真賞「2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード」の受賞者が決定

ライカカメラ社が「2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード」の受賞者を発表しました。

2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード
「The Two Walls」より ©Alejandro Cegarra / LOBA 2025

 

「ライカ・オスカー・バルナックアワード (LOBA)」は、ライカカメラ社が主催する国際写真コンテスト。45回目の開催となる今回は、約50か国・120名以上の写真専門家が推薦した300件を超える応募作品の中から受賞作が選出されました。

授賞式は2025年10月9日、ドイツ・ライカカメラ本社にて「ライカI」誕生100周年記念行事のひとつとして開催されました。受賞作品とファイナリストの作品は、現地のエルンスト・ライツ・ミュージアムを皮切りに、世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルで順次展示される予定です。

2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード受賞作品

「The Two Walls」アレハンドロ・セガラ

「2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード」を受賞したのは、ベネズエラ出身で現在はメキシコを拠点に活動する写真家 アレハンドロ・セガラさんのシリーズ作品「The Two Walls」。アメリカとメキシコの国境地帯を取材し、移民や難民申請者たちの声なき声に光を当てました。過酷で非人道的な状況にさらされながらも必死に生きる移民やその家族たちを、モノクロで描き出しています。

2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード
「The Two Walls」より ©Alejandro Cegarra / LOBA 2025

セガラさんは、ベネズエラの首都カラカスにある不法占拠された高層ビルを撮影したシリーズ「The Other Side of the Tower of David」で、2014年に本賞の新人部門「ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」を受賞しています。本作では2018年から2025年1月まで撮影に取り組み、3万5000枚以上におよぶ写真の中から20点を応募作としてセレクトしました。「人間らしさ、普遍的な人の感情に焦点を当てたかった」とセガラさん。

審査員を務めたライカギャラリー・インターナショナル代表兼アートディレクターのカリン・レーン=カウフマンさんは「新人部門から本賞への昇格は、LOBAの歴史の中でも初のこと。写真を通じたメッセージが一層強く心に響くものとなっていることを示しています」とコメントしています。

2025年度ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード受賞作品

「Bright Memory」セルゲイ・ドゥヴェ

30歳未満の若手写真家を対象とした新人部門「2025年度ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」は、17か国にわたる20の国際的な教育機関および大学と連携し、受賞作が選出されました。受賞したのは、セルゲイ・ドゥヴェさんのシリーズ作品「Bright Memory」。

2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード
「Bright Memory」より ©Serghei Duve / LOBA 2025

ドゥヴェさんはモルドバに生まれ、1歳でドイツへ移住しました。本作には、彼の家族と旧故郷トランスニストリアとの深いつながりが描かれています。「私は、自分自身の個人的な経験を語ると同時に、それを入り口にしてより大きなテーマにも目を向けてもらえるような作品づくりを心がけています」とドゥヴェさん。トランスニストリアは、1990年にモルドバからの独立を宣言したものの、国際的には承認されておらず、ロシアの支援のみを受けている地域。郷愁や分断を抱えながらも営まれる日常の暮らしを、静かに写し出した作品です。