
CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」第7戦の結果を発表します。
世界戦の華やかさを上手に活用して作品に生かそう!
「F1」「WEC」「8耐」「鈴鹿1000km」など、1年に1度の世界戦は、華やかな印象に満ちたイベント。いつもと同じポジションで撮影していても、写真に強い刺激を与えてくれます。そんな新鮮さを機敏に捉えて、いつもとは違う作品づくりに生かすことが大切です。
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔
GP1位「ナイトセッション」拭石 学 (ルーキー応募)

作者コメント
2025年に復活した鈴鹿1000kmレース、金曜日のナイトセッションを撮影しました。この日は雨が降ったり止んだりの難しいコンディションでしたが、ナイトセッションでも各マシンはアグレッシブな走りを披露してくれました。特に派手なライティングで走っていた69号車 GetSpeedのマシンを撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
闇夜を引き裂く! そんなコピーがぴったりのイメージです。クッキリと前方を照らし出すヘッドライトで画面は明確に二分され、照らし出された縁石のギザギザには強い影が出て、ライトの存在を強烈に主張します。強いコントラストが魅力の画面構成ですが、マシンの細部描写に目をやると、高感度ノイズを感じさせない見事な画質。夜間走行の写真とは思えない滑らかな質感描写です。ボディ上部を曲線的に流れる個性的な照明ラインがマシンの存在感を際立たせ、「夜のレース」を美しく表現しています。

GP2位「リベンジ」篠葉俊和 (ルーキー応募)

作者コメント
数年前に2位を取ったWECの写真ですが、何が足りなかったのを意識して今年のWECに挑みました。数年ぶりに同じマシンを撮影し、前回より芯を残して、より縁石も多く使い撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
挑戦的で幻想的な流し撮りです。時間の流れのなかに、ヘッドライトの軌跡がLEDならではの「まだら模様」に残り、結果的にプジョーの特徴的デザインを強くアピールしています。しっかりと形を残したドライバーの見え具合、にじむように流れる縁石の赤白など、スローシャッターによる流し撮りの面白さを存分に見せつける「流し撮り作品」に仕上がっています。
GP3位「一意専心」細野 勉

作者コメント
西日を浴びるドライバーの表情を捉えるため、手持ちの中でいちばん望遠撮影ができる機材を使用しました。ゴールまで残り30分、逆転勝利に向け集中する35号車ミレッシ選手の眼光を捉えることができました。
小林 稔 審査委員長の講評
レース終盤の夕刻、コックピット内に射す低い光を活用した緊張感のある良作です。定番スポットの富士13コーナーですが、ポジション取り、高さ、背景看板ほか、「いつもの13コーナーとは違う世界戦の雰囲気」を上手に演出しています。年に1度のWECらしさとともに「とても新鮮」に感じる作品にまとまりました。
GP4位「黄昏時の攻防」川島康平

作者コメント
それまでの雲天が嘘のように、強烈な夕陽が射し込んだ耐久レース終盤。トップを快走するアルピーヌA424をスローシャッターで捉えました。最後はダンロップコーナーでバックショットを撮ると決めていた「狙い通りの1枚」です。
小林 稔 審査委員長の講評
ハイパーカーの特徴的なリアフォルムとALPINEの「A」を形どったテールランプを印象的にとらえ、マシンの個性を適確に表現しています。流れ方向が異なるもう1台がからむことでレースらしさも高まり、画面の躍動感が増しています。
GP5位「意地の張合い」松浦真尚 (ルーキー応募)

作者コメント
国内レースで定番の撮影ポイントですが、想像以上に熱いバトルが繰り広げられていました。Side by Sideをファインダーで追いかけていたら、そのままフェラーリは押し出され……。
小林 稔 審査委員長の講評
速めのシャッター速度で「スポーツの瞬間」をしっかりと写し止めている。これぞ「ザ・バトル!」といった作品です。2台のマシンにきっちりフォーカスを合わせ、流れ感を見せないことで2台の関係性を微細に表現し、2台とも画面からはみ出すことで高い緊張感を演出しています。こういう作品が撮れたときは「満足感が高い」のです!
GP6位「諦めない夜」小林祥真 (ルーキー応募)

作者コメント
クラッシュで大きなダメージを負ってしまった60号車。それでもJAPAN CUPの仲間からバンパーと力を借りて、再びコースへ戻ってきました。真っ暗な鈴鹿の夜、懸命に走るその姿をファインダー越しに心から応援していました。
小林 稔 審査委員長の講評
マシン本体にはほとんど光があたらず、ヘッドライトの帯だけが印象的に前方に伸びていく。この明暗コントラストが「闇を切り裂き、前に進む」感じを強調し、スピード感のある作品に仕上がっています。ノイズをほとんど感じさせない暗部の高画質が、とても気持ちのよい作品にまとまった主要因になっています。
GP7位「remaining」安積泰信 (ルーキー応募)

作者コメント
さまざまなトラブルでレース時間は押しに押しました。遅い時刻の撮影となり、予想外の低い太陽の位置はラッキーでした。逆光の低い位置にしゃがみこみ、シャッターを! レースは残りあと数周。
小林 稔 審査委員長の講評
この時期、この時刻特有の「たそがれ感」を上手に強調しています。画面左側の紅に輝く路面と、黒いタイヤラインが構図上のキーポイントです。マシン後方位置に少し舞い上がって見える砂煙も、演出として効いています。
GP8位「Rally」佐々木颯大

作者コメント
ラリー初観戦、ラリーらしさを追い求めて撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
背景にたなびく茶色の砂煙が、完璧な形で描かれています。フロント部の小石が跳ねる描写もしっかりと瞬間固定されていて、これぞ「ラリーカーの走り!」を見事なタイミングで写し取っています。
■流し撮りGP 2025 年間ランキング