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1位が毎回入れ替わる大接戦の今シーズン最終戦!「流し撮りGP 2025」第8戦の結果発表

CAPA流し撮りGP2025第8戦

CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」最終戦・第8戦の結果を発表します。今回の1位は佐藤公一さん。そして、2025シーズンの年間総合ランキングも決定しました。今回2位の野中翔平さんが、2025シリーズチャンピオンに輝きました。

大接戦だった2025年の流し撮りGP

野中翔平さんがシリーズチャンピオンを獲得しました。おめでとうございます。2025年のチャンピオン争いは最終戦までもつれ込みました。今季は全8戦すべてで勝者が異なる接戦の展開。前半は好調にポイントリーダーを守り続けた新王者・野中さんですが、第5・6・7戦で痛恨の3連続無得点。最終ランキング2位獲得となった拭石学さんは全戦で着実に得点し、第7戦の1位獲得でリーダーに躍り出ます。

上位5人が王者獲得の可能性を持って迎えた今回の第8戦では、野中さんが作品「猛獣の檻」で見事復活の2位を獲得し、再度の逆転による年間チャンピオンとなりました。ルーキー資格 (R) の最上位者に贈られる「2025新人賞」も野中さんが獲得です。おめでとうございます。

〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔

GP1位「テールランプの螺旋」佐藤公一

GP1位「テールランプの螺旋」佐藤公一
キヤノン EOS R6 EF400mm F2.8L IS II USM Mモード 0.3秒 F11 ISO100 可変NDフィルター 2025 WEC 富士6時間耐久 富士スピードウェイ:コカ・コーラ

作者コメント
コカ・コーラコーナーを駆け抜けていく2台。コーナーに飛び込んでくる左側のマシンに横方向のレンズの動きを加えてみました。低速シャッターの流し撮り表現を最大限に生かした作品に仕上がったかと思います!

小林 稔 審査委員長の講評
同じ時間の中にある、違った動きのコンビネーションを、ひとつの画面内で表現する。低速シャッターによる流し撮りの挑戦的なトライが成功しました。左側の旋回中マシンの渦のような動き、右側の立ち上がりマシンの縦の動き、それぞれの動き (流れ) の差異が不思議なハーモニーを奏でながら、「レース写真」である印象をギリギリのところで保っています。もちろん偶然の幸運もありますが、何度もトライを重ねながら、撮影時の工夫 (レンズの振り) でこの不思議さを生み出しているのが素敵。デザインワークとしてのレタッチ加工作品とは違った、グラフィックな「レース写真」としての存在感が高いです。

流し撮りGP賞品

GP2位「猛獣の檻」野中翔平 (ルーキー応募)

GP2位「猛獣の檻」野中翔平 (ルーキー応募)
キヤノン EOS 5D Mark III EF17-40mm F4L USM Mモード 1/6400秒 F9 ISO400 WB : 7000K 2025 SUPER GT 富士スピードウェイ : ホームストレート

作者コメント
モンスターマシンたちが疾走するコースと、私たち観客の境界である「金網フェンス」を取り入れて撮影しました。金網、マシン共にキレイに光が当たる立ち位置を意識して撮影しました。

小林 稔 審査委員長の講評
佐藤蓮選手の16号車を、網の目の枠内にしっかりと収めて広角画面を見事にまとめきっています。ワイドな画面構成の課題は、画面内に要素が入り過ぎて主題整理が難しくなること。金網、太陽、マシン、路面、背景など、あれもこれもと詰め込まれていますが、見事に全体を調和させて「檻の中」を印象付けています。2025年チャンピオンを勝ち取るにふさわしい、写真構成力による2位獲得。第5・6・7戦の無得点を跳ね返して「流し撮りGP 2025」シリーズチャンピオン獲得です。おめでとうございます。

GP3位「帰郷」細井 渉

GP3位「帰郷」細井 渉
ニコン Z9 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S Mモード 1/1000秒 F4.8 ISO1250 WB : オート CPLフィルター 2025 WRC ラリージャパン 岐阜県恵那市

作者コメント
歴史ある岩村城下町の古い街並みを、勝田選手が大勢の観客の声援を受けながら走り抜けていく姿を撮影しました。勝田選手の向かう先には紅葉に染まる山が広がり、伝統と自然、そしてモータースポーツの躍動が融合する瞬間を切り取りました。

小林 稔 審査委員長の講評
日本開催イベントでの日本人ドライバーに向けての声援。そこには作者コメントどおりの世界観が拡がっており、気持ちのままにシャッターを切ると、その雰囲気が素直に作品になったのだと思います。世界戦WRCには各国各様の地域文化を垣間見る楽しみがあります。一般にも認知が高まり、定着してきたラリージャパンの1シーンから、作者のモータースポーツ愛を感じます。

GP4位「視界ゼロの先へ」小林祥真 (ルーキー応募)

GP4位「視界ゼロの先へ」小林祥真 (ルーキー応募)
ニコン Z8 NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR Sモード 1/800秒 F6.3 ISO160 WB : オート 2025 SUPER FORMULA 富士スピードウェイ : GRスープラ

作者コメント
冷たい雨が降り続け、前方マシンの巻き上げる水しぶきで、後方からは何も見えなくなるような状況でした。そんな中でもテールライトの赤い光だけを頼りに走る姿を、静かに見守りながら撮影しました。残念ながらSC走行のみでレースは終了してしまいましたが、少しの周回でも走ってくれたことに感謝しています。翌日のレースは走る前に終了 (延期) してしまったので……。

小林 稔 審査委員長の講評
残念ながらレースは途中で中止。でも諦めないで撮影すると、このような「めったに撮れない写真」に出会うチャンスとなります。霧の中、滲むように光る赤いテールライト、いつもと違う位置取り、距離感、スピード感など、見たことのない幻想的なシーンが繰り広げられます。

GP5位「灼けたサーキットの鼓動」中谷 洋

GP5位「灼けたサーキットの鼓動」中谷 洋
キヤノン EOS R1 RF400mm F2.8 L IS USM Mモード 1/500秒 F3.5 ISO100 WB : オート 2025 鈴鹿8時間耐久ロード 鈴鹿サーキット : 1-2コーナー (激感エリア)

作者コメント
灼熱の太陽が照りつける真夏の鈴鹿サーキットと、8耐を象徴する瞬間を1枚にまとめました。8耐は「夏の開催が最後」と囁かれていたため、どうしても「真夏 × 8耐」のシーンを撮影したいと思っていました。そんな中、観客席に照りつける光に着目してこの1枚を撮影しました。背景のハイライトは観客席のベンチシートです。速いシャッター速度でも光輝く帯として写すことができるため、スピード感を残すことができました。また、渥美心選手のヘルメットに照りつける光もいいアクセントになりました。

小林 稔 審査委員長の講評
柔らかい逆光気味のソフトライトで、ポートレートのような美しい流し撮りです。バランスのよい優しい光に包まれたバイクは、細部まですばらしく緻密に描写されて圧巻のシャープさ。浮き気味の前輪も前進する勢いがあっていい感じです。

GP6位「Glide of Light」西 圭一

GP6位「Glide of Light」西 圭一
キヤノン EOS R1 RF600mm F4 L IS USM Tv モード ISO100 2025 SUPER GT 鈴鹿サーキット : アスティモ

作者コメント
アステモコーナー先で、加速する車体をスローシャッターで撮影。

小林 稔 審査委員長の講評
正調スローシャッターの流し撮りです。とてもソフトな仕上げが印象的。強い影を感じさせない柔らかい光につつまれて、滑らかで長い軌跡が魅力です。キラリと輝くヘッドライトのハイライトが、効果的なアクセントになっています。

GP7位「ARTA under the bridge!」細野 勉

GP7位「ARTA under the bridge!」細野 勉
ニコン D500 AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED Mモード 1/40秒 F5.6 ISO250 WB : オート NDフィルター使用 2025 SUPER GT モビリティリゾートもてぎ : 5コーナー

作者コメント
橋の下を走り抜ける青いARTAは止められない! アンダーブリッジに吸い込まれるように突進する16号車の迫力の走りが伝わるように、広角で金網を入れ臨場感を演出しました。

小林 稔 審査委員長の講評
金網の前ボケと流れを利用したスピードとパワー表現です。前進するパワー感をみなぎらせる雰囲気は少し粗削りな印象ですが、それをも魅力にしてしまうワイルドタッチの広角作品です。

GP8位「マジックアワー」渋谷裕貴

GP8位「マジックアワー」渋谷裕貴
ニコン Z9 NIKKOR Z 14-30mm f/4 S Mモード 1/80秒 F4 ISO800 2025 鈴鹿1000 km 鈴鹿サーキット : 西ストレート

作者コメント
終始曇り空の決勝レースでしたが、夕焼けの時間帯には空が部分的に色付き始めました。太陽方面に濃い雲があったためまだらな空模様でしたが、撮影位置を工夫することで紅く焼けている部分をうまく切り撮れたと思います。

小林 稔 審査委員長の講評
鈴鹿1000kmならでは夕焼け空です。マジックアワーは、露出と色彩で夕焼け空をコントロールできるとても楽しい時刻帯なのです。夜間走行のある耐久レースが一般化してきて、サーキットでの夜景撮影や打ち上げ花火撮影も楽しめる時代になりました。素敵な「夕焼けの流し撮り」がますます増えるのが楽しみです!

■流し撮りGP 2025 年間ランキング

→ ランキング表 (2025年最終結果)

 

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