ニコンが、F2.8通しの大口径望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」を発表した。II型に進化したニコン大三元の望遠ズームを、2026年4月の発売に先がけて手にした伊達淳一カメラマンが、ファーストインプレッションをお届けする。

参考価格 443,000円 (税込)
予約受付 2026年3月3日 (火) 10:00〜
進化のポイント
「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」に続き、「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」もII型にリニューアル。進化のポイントとしては
- 大幅な小型・軽量化と操作性の向上
- シルキースウィフトVCM採用によるAFの高速・高精度化
- 描写性能 (主に後ボケの質) の改善
の3つで、基本的には「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II」とほぼ同じ設計コンセプトだ。
小型軽量化
なかでも、もっとも注目すべきは、70-200mm F2.8ではクラス最軽量となる約998g (フード、三脚座リング、保護カバーを除く) という軽さを実現。従来と同等、全長が変化しないインターナルズーム (インナーズーム) 方式を採用しているが、レンズの長さもわずかながら約12mm短くなっている。
ただ、約998gというのは、三脚座リングや保護カバーをすべて外した状態の重さで、三脚座リング装着で約1180g、三脚座リング装着用のガイドを隠す保護カバーを装着した状態で約1030gとなる。それでもI型の三脚座を外した状態の約1360gよりも300g以上軽く、三脚座を装着した状態で比較してもII型のほうが260gも軽くなっている。

ここまで軽量化できた技術的なポイントとしては、凸レンズ先行型の設計で径が大きな前群レンズを軽量化すると同時に、収差補正能力の高い非球面レンズやスーパーEDレンズの活用により、レンズ構成枚数を18群21枚から16群18枚に削減。ズーミング時の稼働群をより少ないレンズ構成で成立するよう最適化し、レンズを動かすためのメカ部品を削減することで大幅な軽量化を達成している。
さらに、製造難易度が高かった縁が薄いレンズの安定供給が可能となったことで、一部のレンズを薄肉化できたことも軽量化に貢献しており、レンズ光学系で約100g軽量化できているという。

操作性の向上
■フードはPLフィルター操作窓付きに
同梱されるフードも新型になり、PLフィルター操作窓付きになったが、内面反射防止は植毛ではなく、反射防止用の溝を刻んだ仕様に変更。ただ、フードのバヨネット着脱部分はI型もII型も共通なので、PLフィルター操作窓が必要ない人はI型のフードを装着できるし、逆にI型でPLフィルター操作窓のあるフードを使いたければ、II型用の「HB-119」を購入すればOKだ。

■三脚座はアルカスイス対応
また、三脚座もアルカスタイルを採用しているので、三脚座にアルカスタイルのレンズプレートを追加することなく、アルカスタイルのクランプ搭載の雲台に装着できるのも便利。すでに、OM SYSTEMやパナソニック、シグマ、タムロンといったメーカーがアルカスタイルの三脚座を採用しているが、保守的と思われているニコンがアルカスタイルを採用したことは驚きであり、個人的には大歓迎だ。

■上面にL-Fnボタンを配置
「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II」と同様、コントロールリングクリックスイッチが設けられ、コントロールリングのクリックON/OFFができるようになったほか、I型のレンズ情報パネルは廃止され、代わりにL-Fnボタンが上面にも配置されている。

AFの高速・高精度化
I型もII型も複数のフォーカス群を同時に駆動させるマルチフォーカス方式で、至近から無限遠まで高い解像性能と高速なAFを実現しているが、フォーカス駆動はI型がSTMなのに対し、II型は小型化されたシルキースウィフトVCM (SSVCM) を採用。これにより、AF速度は最大で約3.5倍に高速化され、テレ端時のスキャンタイプは約45%短縮。ズーム中のAF追従性能も約40%向上し、ズーミングしながら被写体を追う際に、より正確にピントを合わせられるという。
ただし、これはボディのAF制御次第の部分があり、EXPEED 7搭載の「Z8」や「Z6III」で試用してみたところ、3.5倍というほどのAFの高速化は実感できなかったが、それでも被写体の距離が大きく変わった際にシャッターボタン半押しでピントを合わせ直すレスポンスは明らかに実感できる。おそらくII型の真価は、次世代のAFシステムが搭載された新Zボディでフルに引き出せるのではないだろうか?
AF速度は速くなってもAF駆動音は半減し、現行レンズ以上の静穏性を実現しているので、動画撮影にも問題なし。フォーカスブリージングも配慮した設計だ。レンズISとボディISを協調制御するシンクロVRにも対応し、最大6.0段の手ブレ補正効果が期待できる。
描写性能 (主に後ボケの質) の改善
NIKKOR Zレンズを代表するフラッグシップ的存在のレンズだけに、S-Line最高クラスの高画質を実現。EDレンズ、非球面レンズ、蛍石レンズ、SRレンズ、スーパーEDレンズ、ED非球面レンズと、6種類の特殊硝材を最適に活用することで、少ないレンズ枚数でも収差を極限まで補正。解像性能だけでなく、I型に比べ、後ボケの輪郭がより柔らかく、背景に溶け込むような美しいボケを追求しているという。

最短撮影距離もワイド端で38cm、テレ端で80cm (I型はワイド端50cm、テレ端1m) と、70-200mm F2.8のなかではかなり寄れる。ワイド端の最短撮影距離付近では、絞り開放撮影時は周辺画質が少し低下するそうだが、このレンズで絞り開放で平面を複写するような使い方はしないと思われるので、特に影響はないだろう。反射防止コーティングはメソアモルファスコートとアルネオコートが施されている。
■実写作例

テレ端200mm開放で白梅を撮影。画面中央上の枝にピントを合わせてみた。撮影距離が少し長めなので前後のボケは小さめだが、二線ボケのようなうるさいボケになりにくく、穏やかなボケ味だ。

横浜関内の猫カフェ「Miysis」にて。F2.8と明るく、最短撮影距離も短いので、光量が不足しがちな室内でのペット撮影にも威力を発揮。色収差もほとんどなく、猫の白いヒゲがぼけても色づきはなし。ピントの合った部分からボケへのつながりが良く、猫の毛並みが柔らかく、顔の丸みが感じられる優しい描写だ。
※2026年3月19日発売の『CAPA』5月号には、さらに詳細なレビューを掲載します。
ニコン NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II 主な仕様
対応マウント ニコンZマウント
焦点距離 70〜200mm
開放絞り F2.8
最小絞り F22
画角 34°20′〜12°20′(撮像範囲 フルサイズ/FX)、22°50′〜8°(撮像範囲 APS-C/DX)
レンズ構成 16群18枚 (EDレンズ1枚、スーパーEDレンズ1枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズ2枚、蛍石レンズ1枚、SRレンズ1枚)
絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 0.38m (焦点距離70mm) / 0.8m (焦点距離200mm)
最大撮影倍率 0.3倍 (焦点距離70mm)
フィルター径 77mm
最大径×長さ 約φ90×208mm (レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
質量 約998g (三脚座リング、保護カバーなし)、約1030g (保護カバー装着時)、約1180g (三脚座リング装着時)
付属品 レンズキャップ77mm LC-77B (スプリング式)、裏ぶた LF-N1、レンズフード HB-119、レンズケース CL-C3