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「日本ほど写真への情熱を感じた国はありません」CP+初出展のポラロイド社CEOに今後の展開を聞いた

「CP+2026」初出展となるPolaroid (ポラロイド)。これに合わせて、オランダに本社を置くポラロイドのDan Dossa (ダン・ドッサ) CEOが来日した。インタビューではポラロイドだけに限らず、写真文化に対する想いや日本のユーザーへの熱いメッセージを語ってくれた。

ポラロイドCEOインタビュー
CP+2026のポラロイドブースにて、お気に入りのポラロイドカメラ「Polaroid Flip」を手にするダン・ドッサCEO。

私のお気に入りは「Polaroid Flip」。最高のカメラだと言ってもらえると思います。

── 初出展となるCP+に期待していることを教えてください。

「CP+2026」への出展は、単にフォトイベントに参加するというだけではなく、ポラロイドブランドを日本で本格的にローンチする機会と捉えています。これ以上ないと言えるくらいにワクワクする出来事ですし、それを実現する場所としてCP+以外にふさわしい場はありません。フロアを見渡してきましたが、本当に素晴らしいフォトイベントです。

ポラロイドCEOインタビュー
CP+2026のポラロイドブース。

── 今回のイチオシアイテムは?

ポラロイドのブースで紹介している製品は、すべてここ数年で登場したものばかりです。ポラロイドが会社として再スタートしたのは2020年なので、すべての製品が “新製品” と言える存在ですし、どれもがハイライトだと思っています。

中でも「Polaroid Flip」は私のお気に入りのカメラです。4つのレンズを搭載し、ソナー (超音波) によって自動で距離を測定して最適なレンズを選択します。もちろん自動フラッシュも搭載していますから、初心者でも安定して素晴らしい写真が撮れます。上級者はレンズをマニュアルで選択したり、マニュアルモードでより高度な撮影も可能です。おそらく多くの一般ユーザーにとっても、最高のカメラだと言ってもらえる機種だと思います。

ポラロイドCEOインタビュー
「Polaroid Flip」はホワイトとブラックの2色展開。

── ポラロイドのカメラは、どんなユーザーにどのように使って欲しいですか?

「写真を撮る人すべて」「写真を撮りたいと思う人すべて」「スマートフォン中心のデジタル生活から少し離れて、創造的で意味のある、本物の写真に仕上げたい人」そういった人たちが私たちの考えるユーザー層です。年齢も職業も関係ありません。アマチュアでもプロでも構いません。ポラロイドブランドを使いたいと思うすべての人が対象なのです。

ポラロイドCEOインタビュー
ブースには懐かしいポラロイドのカメラや最近のコラボモデルなども展示されていた。

── その想いは、会社を再生した当時から変わっていないものでしょうか。

現在の会社の姿は、かつてポラロイドの工場を引き継いで「The Impossible Project」を立ち上げた人々の夢の実現と言えるものです。当初はフィルムを復活させること、ブランドを復活させることを目標にしていましたが、彼らはポラロイドを見事に再生させました。

今も「The Impossible Project」のメンバーが多く在籍しており、非常に情熱的に活動しています。 私たちのビジョンはその当時からまったく変わっていません。それどころか、現在は小さな会社から中規模企業へと成長し、さらに大企業へ向かっている途中で、ビジネスは急速に拡大しています。

── スマートフォンで写真を撮ることと、ポラロイドのようなアナログカメラで写真を撮ることの違いはどこにあると思われますか?

誤解を恐れずに言えば、日本には何かを辛抱強く待つこと、時間をかけて何かを体験するという美しい文化的な要素があると思っています。私にとって、ポラロイドのカメラで撮る行為はまさに同じものです。

例えば写真を1枚撮るにしても、フレーミングを考え、ピントやレンズの焦点距離を調整しますし、現像を待つ時間も必要です。ただ、そこから生まれた1枚の写真は感情がきちんと伴うもので、それがスマートフォンでの撮影では得られないアナログ写真の一番の魅力だと思っています。

ポラロイドCEOインタビュー
CP+2026のポラロイドブースにて。ダン・ドッサCEO (前列中央) の向かって左後ろはポラロイドの日本正規代理店・VISTAL VISION株式会社 代表取締役・大石哲也さん、右隣りはPolaroid APACのVice President APAC・Monica Tsangさん。

日本ほど写真への情熱を感じた国はありません。

── ポラロイドにとって日本のマーケットはどのような位置付けでしょうか。

日本は可能性の大きなマーケットですし、日本市場には大いに期待しています。私はこれまでアジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界各地で仕事をしてきましたが、日本ほど写真への情熱を感じた国はありません。日本には写真コミュニティ、写真家、アーティストなど、アナログ写真を愛する人々がたくさんいます。日本は、写真への情熱という点で頂点にある国と言えるでしょう。

── 日本のユーザーの嗜好は、ほかの国や地域と違いますか?

大きな違いはないと思います。ポラロイドは1947年に初のインスタントカメラを発売して以来、長年にわたって写真文化やアーティスト活動、写真の世界に深く関わってきました。日本のユーザーには、写真に対してと同様にポラロイドに対する情熱も感じています。今後は、さらに多くのアーティストや写真家と協業していきたいと考えています。

── 日本市場ではこれからどんな展開をお考えですか?

ポラロイドブースには、以前からポラロイドを知っていた方だけでなく、初めてポラロイドカメラを手にするような方もたくさん訪れていただいています。今回「CP+2026」に出展したことで、私たちポラロイドは、日本の写真文化やコミュニティに接することができました。日本の正規代理店であるVISTAL VISION株式会社を通じて、ポラロイド製品の販売だけでなく、ポラロイドというブランドの在り方を多くのユーザーの皆さんと共有する機会をさらに広げていきたいと考えています。

── 世界的に、多くのカメラメーカーで生産が需要に追いついていない状況にあります。ポラロイドの状況はいかがでしょうか。

フィルムの需要に追いつくというのが大きな課題でしたが、ポラロイドはこの数年で生産能力を大幅に拡大しました。50年ぶりに新しいフィルムの組立機も製造しましたから、今後半年ほどの間に安定した供給が可能になるでしょう。

ポラロイドCEOインタビュー

 

── 「Polaroid Now Generation 3」の新色が発表されました。ピンクとティールが選ばれた理由を教えてください。

私たちは常に、消費者に新しい選択肢を提供したいと考えています。若い世代、特にZ世代の人たちがポラロイドブランドに関心を持ち、ファッションやライフスタイルの一部としてカラーを楽しめるようになることを望んでいます。

ポラロイドCEOインタビュー
「Polaroid Now Generation 3」新色のピンク (右) とティール (左)。
ポラロイドCEOインタビュー
新色のピンク、ティールを加えて8色がラインアップされた「Polaroid Now Generation 3」。

── 今後発売するカメラには、どんな機能やシステムを取り入れたいとお考えですか?

将来的に、多くの機能やシステムの搭載を検討しています。ポラロイドには、台湾とオランダ・アムステルダムに優れたエンジニアリングチームがあり、製品開発とイノベーションを加速させています。具体的な機能については現段階ではまだお答えできませんが、発表できる段階になれば必ず日本の皆さんにお知らせします。

── 近々、新たなカメラやフィルムを発表する予定はありますか?

すぐに発表・発売される製品はありませんが、現在開発中の製品は、過去半年と比べて2〜3倍の量になります。フィルムも改良を重ねており、現在は第5世代まで進化しています。また、次世代フィルムの開発も進めています。私たちが目指しているものはシンプルで、「より良い写真を撮れる製品を作る」ことだけですけどね。

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── ありがとうございました。今後の発表を楽しみにしています。

 

Polaroid (ポラロイド)
1937年に創業され、インスタント写真を単なる技術から文化的ムーブメントへと昇華させたポラロイド。デジタル写真の普及により一時は事業縮小を余儀なくされ、2008年にはインスタントフィルムの生産終了を発表。しかし、インスタント写真の愛好家グループによる活動「The Impossible Project」によってオランダに残る最後のPolaroid工場は守られ、現在もインスタントフィルムの生産は継続されている。
2017年には、「The Impossible Project」が「Polaroid Original」として再出発し、2020年3月には全ての製品を「Polaroid」という一つのブランド名の下に統一した。ポラロイドの日本正規代理店は、VISTAL VISION株式会社。

 

〈協力〉VISTAL VISION株式会社