機材レポート

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー! 小型中望遠レンズの性能を鉄道撮影でチェック

フォクトレンダーの中望遠レンズ「APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM」が発表された。軸上色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計を採用し、高性能と小型軽量化を両立させている。発売に先がけて、小池隆さんが鉄道撮影で描写力をチェックした。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
「ライカM10-R」に装着した「フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM」

富山の鉄道風景を巡る

“究極の性能” の証であるAPO-LANTHAR (アポランター) の名を冠した中望遠レンズ「APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM」。マウント面からの長さが54.8mmとコンパクトで、光学式レンジファインダー使用時における撮影フレームのケラレも抑制されている。

最短撮影距離は0.5mを実現し、距離計連動範囲も0.7mの分岐点にはクリックを設けている。製品のカラーはシルバーとブラックを用意。フィルター径は43mm、レンズフードは専用のドーム型で、収納時もコンパクトだ。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ブラック (リアキャップ装着時)

さっそく、愛機の「ライカM10-R」に着けて春の富山へ向かった。5月の富山は立山連峰が雪を被って、特に美しい。田植えはもう始まっているだろろうか。

春のローカル線

城端線のキハと田んぼを撮ろうと、越中山田駅に向かった。田植えはまだ始まったばかりだ。数日前に田植えが終わった田んぼの苗がきれいに並んでいる。八乙女山をバックに、2連のキハ40を狙った。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F6.8 1/2000秒 ISO640 WB : 晴天

被写界深度は深めにし、被写体ブレがないように高速シャッターで撮影。空がときどき曇るので、NDフィルターは使用しなかった。田んぼの水面に山の稜線をギリギリ入れてみたところ、良い雰囲気になった。

静かな終着駅

城端線の終点、城端駅。キハは数十分間止まっていることが多いので、入場券を買い、ホームの端から草花を入れて撮影。静かな駅だ。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F10 1/2000秒 ISO640 WB : 晴天

ホームの端は、自然の草花がローカル線の味わいを醸し出している。草花のボケを大きくするため、絞りは浅めにした。薄曇りだったが、薄陽が差した瞬間にシャッターを切った。

砂防ダムとローカル線

富山地方鉄道立山線。廃止が取り沙汰されている路線なので、早めに記録したいと思った。何段もの大きな砂防ダムがある雄大な風景を選んだ。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F5.6 1/1000秒 ISO125 WB : 晴天

夕方まで待ったが、光線が正面にしか当たらない。曇りの日でも良かったかもしれない。ダムの水と列車は露出の差が大きく、両方を適正に出すのは難しいと思い、ダムの水が露出オーバーにならないように注意した。

雪解け水の常願寺川

北アルプスの残雪を背景に、常願寺川を渡る富山地方鉄道本線の鉄橋を撮ることにした。築堤からだと川の水はほとんど入らないので、長靴を履いて水深の浅いところを歩いて中洲に行き、浅瀬に三脚を立てる。雪解け水を多く入れ、白く丸い石も入れ込んで撮影できた。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F13 1/500秒 ISO400 WB : 晴天

白い石がボケすぎないように絞って、列車もブレないように速めのシャッター速度に設定。真ん中に架線のポールがあるので、列車のパンタグラフに掛からないタイミングでシャッターを切った。

これが小池スタイル

これは、鉄道風景写真を撮る時の私の装備。三脚は水平がワンタッチで出せるレベリングベース搭載の「Leofoto LS-284CEX」、雲台はTOKIWA STYLEのティルト雲台「HA02LJ」を使用している。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
※フードはβ製品です。

三脚と雲台は、雲の動きや、SL撮影時の煙の高さに合わせて素早く上下左右に動かすことができ、余計な動きをする部分がないものを選んでいる。鉄道風景写真では、時間や撮影現場の状況に応じて三脚の大きさを変えている。

今回、「雪解け水の常願寺川」を撮影したのはこのスタイル。「ライカM10-R」には、外付け電子ビューファインダー「ビゾフレックス2」を装着。これは、ローアングルへの対応やフレーミングを正確にするためと、3倍に拡大してピントを正確に合わせるためだ。

「キハ」を撮りに千葉へ

雨の古き車両

小湊鐵道の五井駅へ、キハを撮りに行った。小湊鐵道は昔から好きで、年に何度も訪れている。あいにくの雨だったが、車両についた雨粒が良い雰囲気を出している。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F8 1/125 ISO640 WB : 晴天

雨粒がついた窓越しに見える乗客の後ろ姿が、歴史のある車両や青サボとマッチしてとても良い雰囲気。反対席の乗客の顔が写らないように注意し、左右に移動しながら手持ちで撮影した。

雨の後尾灯

列車が到着すると、運転手はいくつか確認をし、最後に後尾灯を点灯させて車両から離れる。普段はアップで撮ることはないが、このレンズはマウント面から50cmまで寄れるので、黄色い線を越えないように注意して撮影。近づいて、雨粒の質感と後尾灯の点灯がわかるように撮影することができた。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM F10 1/125 ISO1250 WB : 晴天

超小型で高性能だからいつも持ち歩きたい

このレンズは超小型で高性能。開放から高い描写力が得られる。発色も自然で、風景撮影や鉄道撮影にもおすすめだ。長さ54.8mm、重量235gの超小型なので、いつでもカメラバッグの片隅に入れておきたい。

APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus 実写レビュー
ライカM10-R + フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM + ライカ ビゾフレックス2

フォクトレンダー APO-LANTHAR 90mm F4 Close Focus VM

発売日 2026年8月予定
希望小売価格 121,000円 (税込)

カラー シルバー、ブラック
マウント VMマウント
焦点距離 90mm
開放絞り F4
最小絞り F22
画角 27.5°
レンズ構成 7群8枚 (異常部分分散ガラス6枚)
絞り羽根枚数 10枚
最短撮影距離 0.5m
距離計連動範囲 ∞~0.7m (使用するカメラにより異なる)
フィルター径 43mm
最大径×長さ φ53.0×54.8mm
重量 235g
付属品 専用レンズフード (リバース装着可能)