ソニーEマウント用として人気のコンパクトな望遠ズームが、タムロン初のニコンZマウント用として新登場。「70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD」をフィールドに持ち出し、風景撮影の現場でその実力を体感した。
ニコンZユーザー待望のコンパクトな望遠ズーム
ニコン純正のZレンズには、気軽にフィールドへ持ち出せる望遠ズームがなく待望していた。コンパクトな「タムロン 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD」がニコンZマウント用として登場したので、ヒガンバナが咲く森で試写してみた。
おしべの花粉まで認識できる解像性能
望遠144mmで背後の倒木を引き寄せて迫力を出し、ヒガンバナの色彩が際立つようにフレーミングした。フットワークよくポジションを前後させることで、主役と脇役の大きさを狙いどおりに仕上げられた。細部の解像も良く、おしべの花粉の粒状感まで認識できる。
大きく柔らかな背景ボケが主役を際立たせる
杉の葉先にアブラゼミの抜け殻を見つけた。300mmの最短撮影距離まで近づき、開放F6.3で撮影すると、抜け殻の細毛や触角のディテールまで精緻に描き出すことができた。背後に咲くヒガンバナのふんわりとしたボケもよい感じだ。
手軽に望遠撮影を楽しめる軽さが魅力
まず驚いたのは、「Z 7」に装着したときのバランスの良さだ。本レンズは580gと軽量なので、望遠レンズであることを感じさせない。手ブレ補正機能は非搭載だが、カメラ内手ブレ補正が使える。また、簡易防滴構造を備えているので雨の日も安心だ。
望遠端300mmでの最短撮影距離が1.5mなのは、もう少し近寄れたらと感じることもあったが、解像感の高い緻密な描写が得られる。数日間の撮影だったが、フットワークを生かせるコンパクトな望遠ズームとして、その魅力を存分に感じることができた。
フィルター径67mmのスリムデザイン
最大径77mmのスリムなデザインで、フィルター径は67mm。フードは約74mmと深めなので、PLフィルターなどの操作はフードを取り外して回転させたほうがスムーズだ。
重量バランスに優れたコンパクトモデル
300mmまでズーミングすると約59mm繰り出され、レンズの全長は約209mm、フードを含めると約275mmとなる。見かけ上は大きく見えるが、軽量で手持ち撮影時のバランスも良い。
LDレンズと円形絞りで画質性能を追求
レンズ構成は10群15枚。そのうち前群1枚にLD (異常低分散) レンズが使用され、色収差を抑えるのに役立っている。また絞り開放から2段までは、ほぼ円形の絞り形状が得られる。
タムロン 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD
発売日 2022年9月29日
希望小売価格 93,500円 (税込)
マウント ニコンZマウント
レンズ構成 10群15枚
絞り羽根 7枚 (円形絞り)
最短撮影距離 0.8m (ワイド端) / 1.5m (テレ端)
最大撮影倍率 1:9.4 (ワイド端) / 1:5.1 (テレ端)
フィルター径 φ67mm
最大径×全長 φ77×150.3mm
質量 580g