カメラ記者クラブが選定する「カメラグランプリ2018」の各賞が決定。大賞はフルサイズミラーレスカメラ「ソニー α9」が受賞した。
カメラグランプリ2018大賞を受賞した「ソニー α9」
カメラグランプリは、写真・カメラ専門の媒体が加盟するカメラ記者クラブ※1が主催し、カメラグランプリ実行委員会の運営のもと、選考委員を組織している。選考委員は、カメラ記者クラブ会員、加盟雑誌編集長または代表者、外部選考委員、特別選考委員、および特別会員のTIPA※2で構成。35回目の開催となる今回は、総勢53名が選考にあたった。
「カメラグランプリ2018」の選考対象は、2017年4月1日〜2018年3月31日の1年間に日本国内で新発売された製品。もっとも優れたスチルカメラを選定する「カメラグランプリ2018 大賞」は、ミラーレスカメラ「ソニー α9」が受賞した。
もっとも優れた交換レンズを選定する「カメラグランプリ2018 レンズ賞」は「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」が受賞。レンズ賞は、3年連続でオリンパスPROレンズシリーズが受賞している。
カメラ記者クラブ会員の合議によって決定する「カメラ記者クラブ賞」は、デジタル一眼レフカメラ「ニコン D850」とミラーレスカメラ「パナソニック LUMIX G9 PRO」が受賞。「ニコン D850」は、一般ユーザーの投票によって決定する「カメラグランプリ2018 あなたが選ぶベストカメラ賞」も受賞した。
※1
カメラ記者クラブは1963年9月発足。2018年4月現在で『アサヒカメラ』『カメラマン』『Webカメラマン』『CAPA』『デジタルカメラマガジン』『デジカメWatch』『日本カメラ』『風景写真』『フォトコン』『フォトテクニックデジタル』の10媒体が加盟している。
※2
TIPA(The Technical Image Press Association)は、欧州を中心とした16か国約30媒体が加盟する写真・映像雑誌の業界団体。
各賞の選考理由は下記のとおり。
カメラグランプリ2018 大賞
ソニー α9
今後のカメラの可能性を感じさせる歴史的な一台。35mm判フルサイズ撮像素子を採用したミラーレス機として高い性能を持つ。メモリー内蔵35mmフルサイズ積層型CMOSイメージセンサーの高速読み出しにより、メカシャッターでなく電子シャッターをメインとして使うミラーレスカメラの可能性を示した。それにより電子シャッターでありながら歪みの少ない像で、無音撮影でのAF/AE追従最高20コマ/秒の連写と電子ビューファインダーのブラックアウトをなくすことを実現している。AF性能も高く、画面の約93%をカバーする693点の像面位相差AFによる精度は高く、また人の瞳を認識しフォーカスを合わせる瞳AFの追従性も高い。ミラーレスカメラの印象を根底から変え、静止画でも動画でもこのカメラだからこそ撮れるもの、撮影シーンがあると感じさせられる。プロの用途に応えるカメラ。選考委員の多くがその先進性を高く評価した。
カメラグランプリ2018 レンズ賞
オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
高い解像力とボケの質の両立を目指した開放F1.2のシリーズの中でも現時点で最も広角の大口径レンズ。広角レンズでも使いやすい画角である一方で、開放F1.2による浅い深度を楽しめる。メーカーが真正面から取り組んだボケは、本格カメラとして期待できる量があり美しくにじむ描写。撮影者の想いを託せるレンズになっている。ハイコントラストで高い解像感、絞り開放から使える描写なのも魅力。レンズ構成の複雑さを感じさせない自然な描写で、撮像素子が小さくレンズの実焦点距離が短くなるマイクロフォーサーズの表現の幅を広げる。同社のボディと組み合わせた際にAFレンズとして、確実なフォーカシングが可能。卓越した描写であり極みの一本。
カメラグランプリ2018 あなたが選ぶベストカメラ賞
カメラグランプリ2018 カメラ記者クラブ賞
ニコン D850
光学ファインダーを用いるデジタル一眼レフカメラとしての完成形。クイックリターンミラーを装備した名機として歴史に残るカメラ。有効4575万画素という超高画素でありながら、高い次元で高速性能と高感度性能を実現。上位機と同じAFシステムによる確実で高速なフォーカスに加え、ボディ単体で約7コマ/秒、マルチパワーバッテリーパックMB-D18とLi-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL18bまたはEN-EL18aを組み合わせれば最高約9コマ/秒の高速連続撮影を実現。低感度から高感度も高い画質であり、オートホワイトバランスの精度も高い。一点突破でなくすべての面でバランスがとれており、報道やスポーツ、ポートレート、鉄道、風景などジャンルを問わない万能性を高い次元で実現している。丁寧な作りで思い通りに操れるスムーズな操作感も魅力。一眼レフとしての機能と使い勝手を磨き上げ、一眼レフの矜持を見せてくれた。写真愛好家が憧れる一眼レフとして仕上がっている。
カメラグランプリ2018 カメラ記者クラブ賞
パナソニック LUMIX G9 PRO
LUMIX G1(2008年発売・第20回カメラ記者クラブ賞受賞)からはじまったミラーレスカメラ10年目に登場した写真愛好家を意識した最上位モデル。本格的なスチルカメラのハイエンド機として、性能を向上させた意義があり、従来モデルから成熟してきた。静止画を撮るという行為に対して細部まで作り込まれていながら、LUMIXらしい4K/6Kフォトといった最新機能が取り入れられている。作り手が写真に向き合ったことが感じられる真面目なカメラであり、マイクロフォーサーズ機として完成度が高く、これからの実用的なデジタルカメラの方向性を示している。高速連写性能、AF性能など、シーンに応じた撮影に適応できる意欲的な一台で、写真撮影者にとって最高にちょうどいいカメラといえる。