東京・北品川にある原美術館では、2018年9月2日(日)まで展覧会「小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮」を開催している。絵画の構図を利用した映像や写真作品を国内外で発表している小瀬村真美さんの美術館での初個展となるもの。初期のアニメーション作品や、ニューヨークの路上に打ち捨てられていたゴミやガラクタを17世紀スペインの静物画と見紛う写真に仕上げた近作、さらに新作の組写真やインスタレーションなど約30点が展示されている。
▲「粧」より
原美術館館内の「カフェ ダール」では、展覧会とコラボしたイメージケーキ(755円)を販売中。作品に登場する花や果物などをイメージして、ブルーベリームースに花びらやドライフルーツがあしらわれている。こちらも要チェック!
※カフェの利用には入館料が必要。
小瀬村さんの作品は、写実絵画、15〜17世紀の西洋の写実的な静物画を参照している。しかも制作にあたっては、写実を希求するのではなく、三次元の現実を、いかにニ次元の絵画的写実に近づけるかを目指しているそうだ。
「餐」(2018年)は、4か月間をかけてインターバル撮影した作品を1枚のプリントに凝縮したもの。みずみずしい花や果物と腐敗したものが混在する不思議な作品だ。
「粧」(2018年)の撮影期間は1か月。その変わりゆく過程を7枚の作品で構成した作品。ただ枯れていくと思われていた切花の蕾が、予想に反して勢いよく大きく花開いたといったように、予想できないことが起こることもあるのだという。
会場には撮影が終わってから約半年置いた被写体の一部も展示されている。小瀬村さんは、その過程で写実絵画の本物らしさが、対象や空間を変形したり整形したりして作られていることを発見するという。画中の現実らしさと現実との差異=絵画の嘘、虚構性を撮影の裏側からも覗けるようにと、撮影に関連したものを展示している。
2013〜2015年に制作された黒い静物画のシリーズ「Drape」は、絵画の模倣ではなく絵画自体の構造やエッセンスの抽出を目的にした作品。ビデオインスタレーション「Drop Off」は、ハイスピード撮影した4秒間の映像を12分で構成した作品。テーブルの上の静物に激しいアクションを加えたものだが、編集時にその動的要素を取り払い、再び静かな静物画のイメージに引き寄せることを試みている。
日曜・祝日には14時30分から30分程度、学芸員によるギャラリーガイドが実施される。そのほか、アーティストトーク、夜間上映プログラムなどの関連イベントも予定されている。アーティストトークのみ要予約。
小瀬村真美:幻画〜像(イメージ)の表皮
会期 2018年6月16日(土)〜9月2日(日)
会場 原美術館
住所 東京都品川区北品川4-7-25
時間 11:00〜17:00(水曜は20:00まで 入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜(7月16日は開館し、翌17日休館)
入館料 一般1100円 高大生700円 小中学生500円
アクセス
JR品川駅 高輪口より徒歩15分
京急 北品川駅より徒歩8分
JR品川駅より都営バス反96系統にて「御殿山」停留所下車、徒歩3分
イベント
■Meet the Artist: 小瀬村真美
[日時]2018年7月7日(土)14:30〜16:00
[会場]原美術館ザ・ホール
[参加費]無料(要入館料)
[定員]80名
[申し込み]原美術館へ電話またはEメールにて
■Screening:夜間上映プログラム(全8回)
[日時]2018年7月11日(水)〜8月29日(水)の毎週水曜17:00〜20:00
[会場]原美術館ザ・ホール
[参加費]無料(要入館料)
[内容]本展未出品作品より数点をループ上映
申し込み・問い合わせ 原美術館(TEL 03-3445-0651)
〈写真・文〉柴田 誠