2018年7月11日(水)〜14日(土)の会期で、上海の国家会展中心(National Exhibition & Convention Center)で開催されていた「第20回 上海国際撮影機材&デジタル映像展覧会(P&I SHANGHAI 2018)」と併催の「中国・上海国際婚紗撮影器材展覧会(China Wedding Expo)」「上海国際児童撮影展覧会(SHANGHAI INTERNATIONAL BABY PHOTO EXPO)」。
会場はとにかく広い。日本で開催されている写真・映像用品展示会「CP+」の会場になっているパシフィコ横浜の2倍以上の広さのホールが連なっているが、「P&I SHANGHAI 2018」と「SHANGHAI INTERNATIONAL BABY PHOTO EXPO」が各1ホールだけなのに対し、「China Wedding Expo」は3ホールを占める。
▲ウェディングドレスや衣装から婚礼用のアクセサリー、メイクアップ用品、婚礼写真スタジオ、プリントや額縁のメーカーまで、婚礼写真に関連するあらゆるジャンルの企業が出展している。ブースの規模も大きく、ちょっとしたショッピングモールを歩いているような感じになる。全部をじっくり見ようと思ったら、とても1日では足りない。
▲ここ数年連続して取材に来ているが、今年は衣装やシチュエーションに凝った、より個性的な演出をした写真が多く目についた。民族衣装を意識した婚礼衣装も多く見られた。「China Wedding Expo」は、流行を求めて中国各地のブライダル関係者が訪れるイベントでもある。
▲写真はとにかくデカイ。アルバムも大きく豪華。ブースの中はテーブルとパソコンが置かれた商談コーナーになっている。平日の来場者は、一般ユーザーやカップルよりもブライダル関係者が多いようだった。数年前は通路にチラシが散乱しているのが当たり前だったが、チラシの配布が減ったこともあって、会場はどこもきれいだった。
▲ブースの入り口にはマネキンではなく衣装を着たモデルがいることが多い。こちらは写真スタジオのブース。「P&I SHANGHAI」に比べるとブライダル関係の女性来場者が多く、カメラよりもスマホで撮影している姿が目立つ。
▲子ども写真も単なるスタジオでの撮影からファッショナブルなものに様変わりしてきている。雑誌のグラビアのような写真も珍しくない。商談コーナーではパソコンでさまざまなサンプルが見られるようになっている。ここで個人が注文するわけではなく、パッケージとして業者が買っていくというスタイルだ。
▲上海国際児童撮影展覧会の会場では、ブースの壁面を利用して子供用の衣装が即売されていた。可愛らしい子供服が格安で買えるとあって人気がある。大量に買っていくのを見ると、個人が購入するというわけではなく、ブライダルフォト関係者が貸衣装などを目的に買っていくようだ。多くのブースでは、展示品を持ち帰るのを嫌って、最終日に叩き売りするのが恒例になっている。
▲会場は、衣装やブライダルフォトなどのテーマで分けられていて、フォトフレーム、プリントだけを扱うブースだけで1つのホールが閉められている。壁面を利用して、ブースの外側にもさまざまなフレームを展示して商品の豊富さをアピールするブースがいくつも並んでいる。
▲通路に描かれた会場図で目的のブースを探す来場者。「China Wedding Expo」の会場は若い女性が多く、「P&I SHANGHAI」とは雰囲気が違っている。自分のウェディングフォトを意識して見に来ている人ももちろんいるが、多くはブライダルの関係者だ。
▲いくつかのブースではコピーを防ぐために撮影禁止になっていた。以前はウェディングドレスのホールだけだったが、最近はフォトアルバムやドレスのブースでも撮影禁止を掲げているところが増えている。スマホでの撮影禁止も目立ちはじめた。
▲結婚式の前撮りを海外のドラマチックな風景の中で撮るという憧れを実現してくれるフォトスタジオ。こうしたサービスを利用できる富裕層がどのくらいいるのだろうと思うが、ビザの問題などもあって「China Wedding Expo」ではまだまだ少ない。香港ではカメラマンやスタイリストを伴って海外で前撮りをするのは当たり前になっているから、中国でも増えていくことになるのだろう。
▲メイクアップアーティストによるメイクの実演は若い女性たちの注目の的。ステージでメイクアップのデモが始まるとすぐに人垣ができていた。出展しているのは中国国内や韓国の化粧品メーカーで、日本の化粧品は見当たらなかった。
▲アクセサリーを扱うブースの店頭に、アクセサリーを身につけたモデルが座っていた。在庫があふれているブース、スマートフォンを手につまらなそうな表情をしているモデルに中国らしさを感じた。
▲夕方になると、いろいろなブースで購入した商品やカタログなど、大きな荷物やスーツケースを持って歩く人の姿が目につくようになる。ブライダル関係者が手に入れた商品や情報が、ここから中国各地に持ち帰られて行くことになる。
▲写真スタジオの集まるホールでは、まるでレストランのようにどのブースにも商談のテーブルがズラリと並んでいる。会場を俯瞰してみると、中国人がブライダルフォトにかけるエネルギーがどれほどのものかわかるだろう。
〈写真・文〉柴田 誠