ニュース

写真だからこそ表現できる。はかなき時が作り出す風景を切り取った写真集『うたかた』

安念余志子さんが、写真集『うたかた』を上梓した。

うたかた

「うたかた」とは水面に浮かぶ泡を指し、儚く消えるものの例えだ。安念さんは自然の中で、あまり人が目を留めない風景を見い出し、写真だからこそ表現できる光景に定着させている。色鮮やかな紅葉は、葉を落とし木肌が白くなった樹木を主人公に置く。岩肌に繁茂する苔や雑草も、一筋の光が当たった瞬間を捉え、凝縮した生命のきらめきを演出する。当たり前に見ている風景の中にも、まだまだ未知なる美が潜んでいる。
 

■安念余志子『うたかた』
B5判変型・80ページ
本体 1,900円(税別)
2018年7月20日発売
風景写真出版
 

 

〈文〉市井康延