中村卓哉さんが、写真集『辺野古 海と森がつなぐ命』を上梓した。
山の森が豊富な水をたくわえ、絶えることなく海へと水を送る。その恵みが多くの生命を誕生させ、潤してきた。沖縄本島にある、やんばるの森は手つかずの自然が広がる場所だ。
中村さんはその源流から川を下り、そこに生息するさまざまな命の姿をつぶさに記録した。河口を越え、浅瀬の海に入ると、その先には数多くの魚たちを育むサンゴ礁が広がる。苔は川の水を浄化し、豊富な酸素を供給する。5000種を超す生物たちは、互いに奉仕し合うことで生命を維持し続けてきたのだ。
写真集の最後には無数の星が輝く大浦湾の夜景が置かれた。それは年に一度、サンゴが卵を海中に放出する神秘的な風景と似ている。今まさに、この場所が失われようとしている。
■中村卓哉『辺野古 海と森がつなぐ命』
252×175㎜・192ページ
本体 2,315円(税別)
2018年9月10日発売
クレヴィス
〈文〉市井康延