中藤毅彦さんが写真集『White Noise』を上梓した。
福島で原子力発電所が爆発した映像を見たとき、中藤さんは何かの終わりを感じたという。その後の日々を過ごす中で、それはただの「終わりの始まり」だったことに気がつく。
かつて日本は、1964年の東京オリンピックに向けて成長を夢見て突き進んだが、2020年に待つものは明るい未来でないことを多くの人たちが薄っすらと感じてはいないだろうか。そうした時代の空気を感じながら、中藤さんは都市の断片を集積していく。
見開きで1~2点の写真を組み、右ページは観音折とした。開くと新しい一枚が現れる仕掛けだ。ページを繰るのとはまた違うイメージの変化に、カオスのイメージがより増幅されていく。ここ数年、東京の変貌は著しく、この街は一体どこへ向かうのだろうか。
■中藤毅彦『White Noise』
230×180mm・244ページ
本体 6,000円(税別)
2018年9月発売
禅フォトギャラリー
〈文〉市井康延