大戸敏之さんが『SCENE – 静謐』を上梓した。デジタル処理に頼らず、現地で実際に目にした色彩を忠実に再現することにこだわった写真集だ。
大戸さんは仕事の傍ら大判カメラを携え、全国の風景を追ってきた。それが近年は日常にある自然に目が向くようになり、デジタルカメラで撮影を始めた。数年前、仕事から離れ、自らがとどめてきた足跡を振り返る。そして、一つの世界をまとめ上げた。撮影するフィールドは変わっても、大戸さんの視線は厳しい自然の中でひそやかに存在する生命を見つめる。時折、登場する小さな虫たちは、自身を仮託しているかのようにも見える。
■大戸敏之『SCENE – 静謐』
163×245mm・112ページ
本体 2,000円(税別)
2018年9月発売
大垣書店
〈文〉市井康延