竹田津実さんの写真&エッセイ集『獣医師の森への訪問者たち』が発売された。
竹田津さんが獣医師として北海道へ赴いたころ、この自然や野生動物たちを熟知していたのは地元の人々だった。野生が学問として本格的に研究されるようになるのと並行して、世の中が自然に興味を持ち始めた。この場所には奇矯ともいえるユニークで個性的な人々が集まって来るが、時代もそれを許容する鷹揚さがあったと気づく。今の社会の息苦しさは不寛容さから来る。予想のつかない話の展開にページを繰る手が止まらない。幸せな読書体験が待っている写真&エッセイ集だ。
■竹田津 実『獣医師の森への訪問者たち』
文庫判・328ページ
本体 740円(税別)
2018年11月20日発売
集英社
〈文〉市井康延