中西敏貴さんが写真集『FARMLANDSCAPE』を上梓した。
近年では北海道の風景美を求めて、国内外から多くの観光客が足を運ぶ。2017年度、美瑛を含む道北圏を訪れた人は2293万人に上る。そんな多くの人々を魅了する風景は大自然ではなく、農地だという。
大阪で生まれ、この地に魅了され、2012年に移住した中西さんもその一人。厳しい環境の土地だからこそ、農家は知恵を絞り独自の農法を作り上げた。この美はその結果もたらされたものであり、中西さんもそこに気づき視点を変えた。
独特の畝の形状は土壌流出を防ぐためであり、毎年、違う風景が生まれるのは、作物の生育に良い輪作を取っているからだ。その作業は気候と土地のあり様に逆らわず、利用していく。そこには野生とは違う強さとしなやかさがある。
■中西敏貴写真集『FARMLANDSCAPE』
A4判変型・96ページ
本体 2,700円(税別)
2019年4月15日発売
青菁社
〈文〉市井康延