Appleは、10.2インチRetinaディスプレイを採用した第7世代のiPadを発表した。34,800円~と低価格ながら、Apple PencilやSmart keyboardに対応し、さらにはiPadOSを新搭載。この新しいiPadが加わったことにより、現行のラインナップは上位機種からiPad Pro、iPad Air、iPad(今回発表)、iPad mini といういう全4シリーズ展開となった。店頭では9月30日(月)からの発売を予定している。
仕事にもクリエイティブにも利用できるツール
今回のiPadがApple Pencilに対応したことで、現行機種すべてでApple Pencilが使用できることになった。
ペン操作ができるということは、メモやイラストなどを書く際はもちろんのこと、写真などの編集をする場合にも大きな効果を発揮する。ペンツールなどで、部分的に画像を調整したり、画像を切り抜いたりすることもそうだが、明るさやコントラストなどを調整するスライダーを操作するときにも、ペンがあると操作しやすい。
さらに、フルサイズのSmart Keyboardにも対応したことにより、文字入力も本格的に行える。まさに仕事にもクリエイティブにも利用できるツールに仕上がっている。
また、今回のトピックとして、新たな専用OSの採用が挙げられる。今までiPadはiPhoneと共通のiOSを使用していたのだが、2019年9月30日に「iPadOS」がリリース予定。これにより、iPadをさらに便利に利用できるようになる。
具体的な主な変更点としては、新しいホーム画面、Split View とSlide Overの機能強化、Apple Pencilのより自然な操作、ファイル管理の進化、Safariでデスクトップ版サイトの表示、ZIPファイルやUSBメモリへの対応などがアナウンスされている。
これらにより、さらにパソコンライクな使い方が可能になることが予想される。近年の働き方改革や社内のフリーアドレス化などの影響もあって、高性能なパソコンを必要としないオフィスでは、デスクトップ型パソコンを採用する企業は減ってきているように見受けられる。その代わりに、現時点では持ち運びに便利なノートPCが採用される場合が多いようだが、タブレットの進化により、オフィスシーンにおいてもiPadを採用する企業がさらに増えてゆくのではないだろうか。
iPadは「iPhoneの大きい版」ではない
日本におけるiPhoneのシェア率は、非常に高い。一方で、iPhoneと比較すると、現時点ではまだiPadなどのタブレットを使用している人は、それほど多くない。使用したことがない人からすると「iPadは、ただ単にiPhoneの大きい版」といった認識をもたれがちだ。
しかし実際に使用してみると、全く別物といっていいくらいに使用感が違う。ニュアンスとして、iPadは「非常に扱いやすいノートパソコン」といったイメージだろうか。筆者のメインフィールドである「写真」の領域でも、すでにリリースされているAdobe Lightroom for iPadは、非常に高性能で使いやすい。さらに、今年中にAdobe Photoshop CC for iPadのリリースも予定されている。
また、近年では情報も紙媒体で発信されるよりも、電子媒体の割合が増えてきている。例えば、本記事のようにウェブ媒体のニュースや記事、電子書籍などで発行されるものも多い。小説や新書などは、iPhoneなどでも見やすいかもしれないが、写真やイラストを扱う本やビジュアル情報が満載の雑誌などは、iPadで見るほうが当然ながら何倍も見やすい。
新しいiPadの高性能さと低価格さ、そしてiPadOSの登場などを考えると、ますますiPadの普及が進んでいくと思われる。PCのシェア率をタブレットが脅かす日もそう遠くないのかもしれない。