アドビは、2019年11月4日に米国で行われたクリエイティブカンファレンス「Adobe MAX」において2020年版Creative Cloudの最新バージョンを発表した。すでに一般提供が開始されている。特に注目は画像編集ソフト「Photoshop」。ついにiPad版がリリースされたのだ。
■Photoshop iPad版
開発が公表されていたiPad用のPhotoshopがついに提供された。これにより、いつでもどこでもPhotoshopを持ち出し、画像を編集できるようになる。Apple Pencil (アップルペンシル) やタッチジェスチャーを使い、直感的な操作ができることもレタッチに有効に働くはずだ。また「Photoshop iPad版」はPSD形式に完全に対応するため、複数のデバイスにわたっての作業も安心して行うことができる。
また「クラウドドキュメント」という新機能により、デバイスを超えて作業が自動的に保存されるようになる。ただし現在のところ、書き出せるファイルフォーマットはPNG、JPEG、PSD、TIFFとなる。
今回は初バージョンということもあり、比較的ユーザーの使用頻度が高い画像合成、基本レベルのレタッチ機能、画像のマスクという3種類のタスクとワークフローで構成されている。今後、将来に向けてより多くの機能とワークフローが追加実装されていく予定だ。
既存のPhotoshopサブスクリプションを含むプランを利用していれば、追加料金もなく、すぐに使用することができる。公開されたばかりということもありマメな改善が予測されるので、アップデートには注目しておいたほうがいいだろう。
■Photoshop デスクトップ版
デスクトップ版のPhotoshopもメジャーアップデートされ、iPad版同様にクラウドドキュメントに対応したことをはじめ、各種の機能が向上している。バージョンは21.0となった。
今回はワークフローの最適化を進め、例えば、よく使うタスクの手順を「属性パネル」一か所に集約。グリッドやガイドの表示/非表示などがやりやすくなっている。
AIと機械学習を活用した“Adobe Sensei”により「オブジェクト選択ツール」が進化。自動的に被写体を認識する精度が上がり、選択が簡単に行える。
「ぼかし(カメラレンズ)」を使うと、手持ちのカメラが深度マップをサポートしている場合、写真の中で前景や背景など、どこをぼかしてどこにピントを合わせるかを決めるフォーカス位置を指定することができるようになった。
そのほかにも
- 「被写体を選択」コマンドが、さらに正確に領域を検出できるように向上した。
- 「コンテンツに応じた塗りつぶし」の機能が強化され、自動のクリエイティブな塗りつぶしの精度が向上した。
- スマートオブジェクトを再度レイヤーに変換できるようになり、微調整がしやすくなった。
- 「変形/ワープ」ツールが機能強化され、より細かくかつ柔軟に変更が可能に。
など改良点は多岐にわたる。また「グラデーション」や「パターン」のプリセットが新しくなったり、変形時は縦横比の保持がデフォルトになるなど、操作性の改善も進んでいる。
Adobe Photoshop 価格
- Creative Cloud フォトプラン (Photoshop + Lightroom + ストレージ20GB)
年間プラン 一括払い : 11,760円/年 (税別)
年間プラン 月々払い : 980円/月 (税別)- Creative Cloud Photoshop 単体プラン : 2,480円/月 (税別)
〈文〉稲葉利二