佐藤和斗さんの写真集『DEER PARK 世界でここにしかない奇跡の場所』が発売された。
本書は天気の良い日に、カーテンを開けてお日様を浴びながら見ることを勧める。写真の色がきらきらと光って映え、被写体が立体的に立ち上がってくる。特に鹿たちの毛並みはつやつやと美しい。
撮影地である奈良公園の鹿は神の遣いであり、1000年以上もこの地で暮らしてきた。公園ではあるが、彼らは人間に飼われているわけではなく、野生だという。自生の芝は彼らが食べることで、手入れせずにキレイな状態を保っている。普段は物静かだが、発情期には強く体臭を発散させ、オス同士激しく闘う。新しい命が生まれるのは初夏だ。
四季の移り変わりの中で、彼らが見せる表情や仕草は何度見ても飽きない。この写真集にある風景がいつまでも変わらないことを願う。
佐藤和斗『DEER PARK 世界でここにしかない奇跡の場所』
220×240mm・120ページ
本体 2,700円(税別)
2019年10月29日発売
青菁社
〈文〉市井康延