榎並悦子さんの写真集『光の記憶 見えなくて見えるもの – 視覚障害を生きる』が発売された。
障害者はかわいそうな人たちなのか。本書ではさまざまな視覚障害者を紹介しているが、皆それぞれに充実した日々を過ごしている。2児の母である小暮さんは10代の終わりに左目を失明し、その後視覚を失った。「弱視のころはできないことが増えていくばかりだった」が、全盲になってからはできることが増えていったと話す。
自分がどう生きるか、それを見つけ、いかに達成するかは健常者であっても同じこと。視覚は人間に備わった感覚の一つで、五感を使ってあらゆるものを捉えることこそが「視る」ことだと榎並さんは記す。自らの人生を生きている彼らの姿を見ていると、障害者という言葉が違和感を持って響いてくる。
榎並悦子写真集『光の記憶 見えなくて見えるもの – 視覚障害を生きる』
240×143mm・144ページ
本体 3,000円(税別)
2020年1月15日発売
光村推古書院
〈文〉市井康延