秦達夫さんの写真集『Traces of Yakushima』が発売された。
ページを開くと、静かなギャラリーの中で写真を鑑賞している気分になる。秦さんは屋久島に流れる悠久の時の流れに身を委ね、心に留まる光景を6×6判のフィルムカメラ「ゼンザブロニカ」で撮影した。深い黒で描き出された風景は、圧倒的な存在感と生命の鼓動を感じさせる。
38点すべてにフィルムの黒フチが付けられているのも、切り取った世界の密度を高めている。プリントを「EOS R」で複写し、デジタル技術を駆使した印刷も見応えがある。
秦達夫写真集『Traces of Yakushima』
293×235mm・80ページ
本体 2,727円(税別)
2020年4月24日発売
日本写真企画
〈文〉市井康延