オリンパス株式会社は、オリンパスの映像事業を日本産業パートナーズ株式会社が設立する新会社に譲渡することを2020年6月24日に発表した。この取引は、グローバルの映像事業を対象にしており、新会社では映像事業が行う構造改革後の研究開発・製造体制を維持するとしている。また、引き続きオリンパス製品を提供し続けるとともに、オリンパス製品のカスタマーサポートを継続することも明らかになっている。
新会社を設立する日本産業パートナーズは、事業再編・事業構造転換のための投資を行うファンド会社。オリンパスと日本産業パートナーズは、投資を行うにあたって投資先の価値やリスクなどを調査 (デュー・ディリジェンス) するとともに、さらなる協議を経て、2020年9月30日までに正式契約を締結することを目指している。
オリンパスの映像事業は、市場の急激な縮小などから、2020年3月期まで3期連続で営業損失を計上している。厳しいデジタルカメラの市場環境に対応するために、生産拠点の再編等によるコスト構造の見直しや収益性の高い交換レンズを強化するなど、売上規模が縮小しても継続的に利益を生み出せるような事業構造と収益構造の改善を図っていた。オリンパスは2020年12月31日に完了する譲渡に向けて、映像事業の構造改革を実施し、黒字化が見込める事業構造としたうえで映像事業を分社化する予定にしている。
1936年に始まったオリンパスの映像事業。その譲渡は、カメラ雑誌の相次ぐ休刊に続いてショッキングなニュースとなった。事業の譲渡というと、ブランドそのものがなくなってしまう印象だが、今回は「厳しい状況にある映像事業を継続するための譲渡」であって、オリンパスブランドの継承やサービスの継続が明らかになっている。
写真コミュニティサイト「Fotopus (フォトパス)」終了の発表も記憶に新しいが、事業の立て直しを図るとともに、今後もオリンパスらしさのあるユニークな製品を出し続けて欲しいと思うのは、私だけではないだろう。
〈文〉柴田 誠