タムロンが、マクロレンズで撮影した写真を募集した「第17回 タムロン・マクロレンズ フォトコンテスト」の審査結果を発表した。
「タムロン・マクロレンズフォトコンテスト」は、タムロンが毎年開催しているマクロレンズで撮影した作品限定の写真コンテスト。マクロレンズであればメーカーやモデルの新旧を問わず応募可能で、 植物や動物などのネイチャー写真が対象の「ネイチャーの部」と、ネイチャーに限らない写真が対象の「ノンジャンルの部」が設けられている。今回から、最大撮影倍率1:2のマクロレンズで撮影した作品が対象の「ハーフマクロ賞」も新設された。
第17回となる今回は、2020年7月1日~10月15日に作品を募集。コロナ禍の中にもかかわらず、前年を上回る1,937名、総作品数5,693点の応募があったという。その中から、写真家の並木隆さんと大村祐里子さんの審査により31点の入賞作品が選考された。
全応募作品より選出されたグランプリは、愛知県の森本修さんの作品「稜線を行く」。葉の上をカタツムリが這い進んでいく様子をシンプルな構図で捉えたモノクロ作品だ。並木隆さんは「あえて暗めの露出にしたことがこの作品の勝因。美しいと感じた部分が明確で惚れ惚れしますね」とコメント。大村祐里子さんは「マクロレンズでしか写せない、静かで緊張感のある世界に心を鷲掴みにされました。余計な情報をすべて排除した、シンプルな構成が素晴らしい。カタツムリのたどる軌跡がやや不安定なのが、この絵にほんの少しの不穏さを加えてくれていて、ミステリアスな魅力になっていると思います」と評している。
ネイチャーの部 金賞「花ティアラ」二井泰弘さん (神奈川県) |
ネイチャーの部 金賞「Move」森田康平さん (東京都) |
ネイチャーの部の審査を担当した並木隆さんは総評の中で「屋外に撮影に行くこともままならない状況の中だからなのか、撮影者の思いよりも色や形といった被写体の美しさや珍しい瞬間を見せようという被写体依存の作品が多かった。被写体ばかりに目がいくと、作品からは個性が失われてしまいます。レンズを向ける前に、そこからさらに魅力を感じる部分を探してみましょう。それが見つかったら、あなただけの視点の作品が生まれるはずです」と、今後に向けたアドバイスも。
ノンジャンルの部 金賞「基盤都市〜空撮夜景〜」藤元麻未さん (岡山県) |
ノンジャンルの部 金賞「ある意トリー」松本直己さん (奈良県) |
ノンジャンルの部を審査した大村祐里子さんは、「変わったものを主題にされている方や、自身の世界観を強く打ち出されている方の作品に惹かれました。花と虫と動物はマクロレンズの世界では長く愛されている主題ですが、それ以外のものもたくさん見てみたい。逆に、マクロレンズで描ける絵はまだまだあるのだな、とも感じました」とコメント。次回の開催に向け、ぜひ参考にしてみよう。
フォトコンテストのオフィシャルサイトではネイチャーの部・ノンジャンルの部入賞各15作品も公開中。講評や最終予選通過者名も紹介している。
〈文〉佐藤陽子