ライカカメラ社は、歴史に名を残すユニークなレンズの復刻版第3弾として、「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」を発表した。国内での発売は、ブラックアルマイトが2021年2月中、世界限定100本のシルバークロームが3月の予定。価格は、ブラックアルマイトが900,000円、シルバークロームが1,900,000円 (いずれも税別)。シルバークロームはライカストアのみでの発売となる。
■オリジナルは世界で初めて非球面レンズを採用
「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」は、1966〜1975年にかけて製造され、世界で初めて非球面レンズを採用した「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」をベースに開発されたレンズ。オリジナルレンズは、現代でも遜色のない明るさと描写性能を誇っており、伝説的な銘玉として知られている。絞り開放では、ユニークで魅力的な表現が可能なレンズで、独特の美しいボケ味を生かした、ソフトで幻想的な雰囲気を描写することができる。
■オリジナルの描写を楽しめる復刻レンズ
復刻した「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」は、光学設計をオリジナルの「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」に可能な限り近づけることで、オリジナルとほぼ同じ描写を再現できるように配慮。オリジナルのレンズとほとんど変わらない独特の表現を楽しむことができるものとなっている。オリジナルの光学設計は50年以上前のものだが、復刻版は古き良き描写を再現できるだけにとどまらず、F2.8まで絞り込めばシャープな描写も可能。現代の高画質なデジタル撮影にも対応可能な性能を兼ね備えている。
■ブラックとシルバーの2色展開
「ノクティルックス」シリーズの中で、最も軽量・コンパクトなボディ設計を受け継ぐ「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」は、ブラックアルマイトとシルバークロームの2種類のカラーで登場する。
実は1966年にオリジナルの「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」が登場するまでは、ライカMシステムレンズのカラーにはシルバーが採用されるのが通例だった。ブラックはフォトジャーナリスト向けの特別モデルとして、目立たないカラーリングが採用される程度だった。ところが「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」にブラックカラーが採用されたことが転機となり、その後はブラックアルマイトが一般的になったという経緯がある。
■オリジナルレンズは人気の高いコレクターズアイテム
ちなみに「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」が発売された1966年以前に、プロトタイプとしてシルバーカラーモデルが、わずか5本だけ製造された。製造本数が少なかったため、現存するライカMシステムレンズとしては、現在最も人気が高く高価なレンズのひとつとなっている。ブラックカラーモデルの製造本数もわずか1757本だったため、状態の良いオリジナルの「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」ブラックモデルも非常に人気の高いコレクターズアイテムとなっている。
ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH. ブラックアルマイト
ブラックアルマイトは、レンズ鏡筒部にアルミニウムを採用する。オリジナルの「ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm」のパッケージデザインからインスピレーションを得たボックス入りとなっており、オリジナルに付属していたものと同じ保管用のレンズケースも付属している。
ライカ ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH. シルバークローム
シルバークロームは、世界で100本のみの限定販売。レンズ鏡胴部に真鍮を採用するほか、化粧リングには伝統的な「LEITZ WETZLAR」の文字が刻印されている。パッケージデザインも当時のオリジナルに近いものを採用する。
ライカ ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. 主な仕様
カラー ブラックアルマイト、シルバークローム
マウント ライカMバヨネット (デジタルMカメラ識別6ビットコード付)
焦点距離 50mm
開放絞り F1.2
最小絞り F16
レンズ構成 4群6枚 (非球面レンズ2枚)
画角 (対角線 / 水平 / 垂直) 45.6°/ 38.6°/ 26.3°(フルサイズ)、35.0°/ 29.4°/ 19.9°(M8)
有効撮影範囲 1.0m〜∞
最短撮影距離 425×637mm (フルサイズ)、319×478mm (M8)
最大撮影倍率 1 : 17.7
フィルターマウント E49
サイズ (最大径×長さ) 約φ61×52mm (レンズフードを除く)
付属品 レンズフード (クリップオンタイプ)
〈文〉柴田 誠