ライカカメラ社は、ライカMマウントの広角レンズ「ライカ アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH.」を発売する。「ライカ アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」(2013年発売) に続く「アポ・ズミクロンM」シリーズで、開放値F2.0の明るさとMレンズで唯一となる最短撮影距離30cmを実現した。国内での発売予定は2021年3月下旬。価格は960,000円 (税別) だ。
■妥協のない描写性能
「ライカ アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH.」は、ライカの技術者たちが「一切の妥協を許さず、従来のレンズの限界を超える卓越した描写性能を実現する」ことを目標に掲げて開発を進めてきた。開放でも画面中心部から周辺部まで鮮鋭に描写できる。ディテールまでシャープに描き出せるのが特長となっており、高画素カメラに対応する高解像な描写を実現する。
■光学性能
レンズ構成は5群10枚で、うち3枚に非球面レンズ (1枚は両面非球面) を採用する。さらに、6枚のレンズには異常部分分散特性を持った特殊ガラスを採用しており、広角レンズとしては珍しい色収差を最小限に抑えるアポクロマート補正を施している。
付属のレンズフードと反射防止コーティングの組み合わせにより、迷光の影響を極限まで低減する。また、色収差や歪曲収差などもほぼ完全に補正しているほか、周辺部まで極めて高コントラストで描き出すことが可能。絞りを開けて美しいボケ効果を生かした描写を実現可能だ。絞りは11枚羽根によるほぼ円形の設計で、絞り込んでもきれいなボケが維持される。
また、光学系の設計に全撮影距離で高画質が得られるフローティングシステムを採用し、近距離撮影でも高い描写力を発揮する。最短撮影距離は0.3m (距離計連動範囲は0.7m)となっている。
■カメラの距離計に連動
最短撮影距離が短くなっているにも関わらず、フォーカスリングの回転角が300°と極めて大きく、緻密なピント合わせが可能だ。さらに、撮影距離が無限遠から70cmまではカメラ本体の距離計に連動したピント合わせが可能となっている。フォーカスリングを回すと70cmで軽く抵抗が感じられるようになる。撮影距離が70〜30cmの範囲では、液晶モニター、外付け電子ビューファインダー「ビゾフレックス」、アプリ「Leica FOTOS」でライブビュー映像を見ながらピントを合わせることができる。
ライカ アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH. 主な仕様
マウント ライカM バヨネット (6ビットコード付き)
焦点距離 35mm
開放絞り F2
最小絞り F16
レンズ構成 5群10枚 (非球面レンズ3枚4面)
画角 (対角線 / 水平 / 垂直) 62.5°/ 53.6°/ 37.2°
絞り羽根枚数 11枚
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 1:5.6
フィルター径 E39
サイズ (最大径×長さ) 約φ53×40.9mm
付属品 レンズフード (スクリュータイプ)
〈文〉柴田 誠