石川真生さんの写真集『醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。』が発売された。
1972年、沖縄が日本に返還された。石川さんはその2年後から故郷であるこの地を撮影し始めた。バーで働き、そして同棲していた黒人の米兵との生活をスナップした写真で注目を集める。以来、一貫して沖縄を撮り続けてきたが、その活動がきちんと紹介されることは少なかった。
本書はデビュー作から最新作の「大琉球写真絵巻」までを網羅したほか、石川さんによる自作解説と専門家による5つの論考などを掲載した石川真生大全になっている。興味深いのは生活の中で知り合った人とのつながりから、数々の写真が生まれてきたことだ。それこそが彼女の写真に強さがある理由だろう。
石川真生『醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。』
210×298mm・408ページ
3,960円(税込)
2021年3月16日発売
T&M Projects
〈文〉市井康延