“アラーキー”こと荒木経惟さんの写真と言葉で綴った書籍『愛バナ アラーキー20年ノ言葉 2001-2020』が発売された。
天才・アラーキーは撮影現場で被写体にさまざまな言葉を投げかけ、“変容”させていく。女優の樹木希林さんは20分程度の撮影で少女のような笑顔を浮かべ、無邪気にはしゃぎ始めたそうだ。彼は自作や写真についても饒舌に語り、その文言は口述文学といってもいいだろう。
本書はそんなアラーキーの写真と言葉を盛り込んだ連載「愛ノ説明」「愛ノ説明 2」(雑誌『VOCE』2001年11月号〜2020年12月号) からピックアップしたものだ。「嫉妬は人間のいちばん大切な感情」「幼女と老女が混ざっているのが、女の美しさの頂点」、そんな箴言と、人生やエロス、女などについて語る文章がふんだんに掲載されている。読了後は身近な日常こそが最高の被写体だとわかる。
荒木経惟『愛バナ アラーキー20年ノ言葉 2001-2020』
228mm×166mm・192ページ
3,300円(税込)
2021年5月25日発売
講談社
〈文〉市井康延