秦達夫さんがフォトエッセイ『タイトル』を上梓した。
写真家として活動し始めたころ、テーマを見つけようと島を巡り、偶然出会ったのが屋久島だった。著名な写真家が被写体にしてきた場所であり、秦さんは迷いながらもそこに通い続けた。
島の大部分は山岳地帯であり、冬には雪も降る。嵐に遭遇して山頂で急遽ビバークするなど、現場で一つ一つ学んでいく過程が綴られている。豊富な失敗談と軽妙な筆致に惹かれ、一気に読了してしまう。
「ここでの出会いと出来事が僕の人生を豊かにしてくれた
歓喜と悲哀の狭間に見た風景に嘆き、笑い、感動し、自分を信じようと思った。そんな旅がここにある」
秦 達夫『雨のち雨 ところによっても雨 屋久島物語』
四六判・208ページ
1,900円(税込)
2021年6月1日発売
日本写真企画
〈文〉市井康延