ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
虫柱
山内葉月 (島根県大田市 / 16歳 / 島根県立大田高等学校 / 写真部)
主役の蝶の模様や色も綺麗ですが、写真全体の色味が目を引きました。白と茶色の蝶を中心に、ピンク、緑、青で構成された鮮やかな色のバランスが素晴らしい。
蝶の羽が画面上ギリギリなところが気になりました。もう少し引いて空間を取ると窮屈な印象にならなかったでしょう。
常連さん
下浦茉侑 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
優しい散髪屋さんと常連のお客さんだそうです。営業中にこの場面を撮影してしまう図々しさに拍手! 光の捉え方も素晴らしく、2人の肌の質感や年季の入った店内の様子がドラマチックに描かれています。
2人の関係性が表れてはいますが、少々説明的に見えてしまいました。耳かきをされて気持ちよさそうなお客さんをメインにするなど、ターゲットを絞ってみてもよかったと思います。
あったかコーンスープ
野村優凪 (宮城県塩竃市 / 16歳 / 宮城県塩釜高等学校 / 写真部)
「冬になると自販機にコーンスープ、絶対あるなと思いました。さらさらよりとろとろ派です」とコメントがありました。感じたこと、目についたものを、ただストレートに写真にする。考える前に撮る写真は強い印象を受けます。しかも画面いっぱいに切り取っていて、インパクト大。このような写真は一枚で表現として成り立たせるのは難しいです。複数枚での表現がマッチします。ぜひこの調子で写真を撮り溜めて作品を作ってほしいです。