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見たことのある光景がカメラを通すとリズムを奏でる 河野和典写真集『永遠のリズム Eternal Rhythm』

河野和典さんが写真集『永遠のリズム Eternal Rhythm』を上梓した。

河野和典写真集『永遠のリズム Eternal Rhythm』

■収録作品ギャラリー

 

ここに集められたのは、約半世紀にわたり撮影された写真だ。河野さんは自然や人工物が織り成す造形や、虫や花などの小さな生命に引かれるようだ。赤と青の網が干されている様や、木の肌に現れた模様、所々壊れた石段など誰もが街中で見たことのある光景が続く。しかし、河野さんの目を通して写真になると、フォルム同士が共鳴し合い、リズムを奏でる。

たくさんの落ち葉を集めた上に、白や赤、黄、紫色の生花が捨てられた1枚がある。さり気なく死の気配を暗示させるイメージと、沖縄の風景が挟み込まれ、それまでと違うさざなみが立つ。

のどがきれいに開く和綴じとハードカバーの造本で、心地よく本書の世界に引き込まれる。河野さんは長年、写真雑誌の編集に携わり、巻末には同郷でもある写真家の「植田正治のことば」に寄せた写真論も掲載。

河野和典写真集『永遠のリズム Eternal Rhythm』

体裁 273×227mm・128ページ
価格 6,600円(税込)
発売日 2022年4月20日
発行元 PCT

 

〈文〉市井康延