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日本の現役SLが一堂に! 写真とエピソードを収めた『国内蒸気機関車の魅力 現代を走るくろがねの勇姿たち』

鉄道写真家の都築雅人さんがライフワークとして撮影する世界の蒸気機関車のうち、国内の現役車両を集めた書籍『国内蒸気機関車の魅力 現代を走るくろがねの勇姿たち』が発売された。

都築雅人『国内蒸気機関車の魅力 現代を走るくろがねの勇姿たち』

 

蒸気機関車にロマンを感じるのは、そこに人生を重ねて見るからだろう。例えば、C58は1972年に廃車となり、埼玉県内の小学校で静態保存された。その後、県が観光振興策として着目し、1988年から秩父鉄道で復活した。本書では全国各地で再び活躍する姿を紹介していく。

都築さんの写真の魅力は、沿線に住む人々の日常とともにSLを見せてくれることだろう。網の手入れをする漁師夫婦や畑に向かう農夫の背景に走る姿を写し込む。その場に偶然居合わせたようなタイミングが実に見事だ。場合によって車体は塀に隠れ、煙突だけがちょこんと覗く光景だったりもするが、それが逆にSLを身近に感じさせる。

大井川鐡道を走るC10は転籍しながら現役を続けてきた車両であり、JR肥薩線には現役最古の8620形が走る。そうした歴史もきちんと綴られており、これから蒸気機関車を知る人にも恰好の一冊だ。鉄道ファンでなくとも旅情をかき立て、写欲が刺激されてしまうだろう。

都築雅人『国内蒸気機関車の魅力 現代を走るくろがねの勇姿たち』

体裁 B5判・144ページ
価格 2,750円(税込)
発売日 2022年9月20日
発行元 天夢人

 

都築雅人 (Masato Tsuzuki)

1957年、千葉県習志野市生まれ。新聞社系ビジネス誌を中心に、小説誌および在京球団広報の撮影を手がける。ライフワークとして国内外の蒸気機関車を追う。著書に『世界の蒸気機関車』(JTBキャンブックス) ほか多数。日本写真家協会 (JPS)、日本鉄道写真作家協会 (JRPS) 会員。
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〈文〉市井康延