ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
サンバーンマッスル
石井秋稔 (神奈川県横浜市瀬谷区 / 17歳 / 神奈川県立瀬谷高等学校 / 写真部)
せっかくの筋肉質の肉体美よりも、気持ち悪さが際立つのが面白いと思いました。粘り気を感じる水、体の中心に伸びた影の線がよりグロテスクな印象を与えています。
首の部分と海水パンツは画面から外すくらいの大胆なトリミングで攻めると、さらにインパクトが増したでしょう。説明的にならないほうが面白いですね。
一人花火
矢澤悠汰 (新潟県長岡市 / 16歳 / 中越高等学校 / 写真部)
海を背景に少女が花火をするシーン。花火を見つめる虚ろな表情、指先まで緊張感のある仕草など細かい部分まで観察しているのが見受けられます。背後から光を当てることで立体感も出ていますし、背景の処理、空間の作り方など工夫が見られて、一枚を丁寧に仕上げる姿勢が素晴らしいです。
プリントした画像に違和感を覚えました。もう少し自然な雰囲気で出力すると、より美しさが感じられると思います。
まるで目のよう
酒井彩葉 (愛知県岡崎市 / 光ヶ丘女子高等学校 / 写真部)
眼鏡の中に映る花火を捉え、背後に実際の花火をぼかして重ねたアイデアが光る美しい作品です。画面内に丸いフォルムがいくつもあって、パターンを作っていることで面白さが出ています。
右側片方のレンズだけで、もっとシンプルに構成する手もあったと思います。そうすることで、より丸いフォルムが強調されることになります。