コシナは、フォクトレンダーの中望遠MFレンズ「ULTRON (ウルトロン) 75mm F1.9 VM」を2023年2月に発売する。レンズにマルチコーティングが施された「MC」とシングルコーティングの「SC」の2モデルが用意される。希望小売価格はいずれも110,000円 (税込)。
■ボケと解像のバランスを最適化した設計
「ULTRON 75mm F1.9 VM」は、フルサイズのMマウントセンサーに最適化された中望遠MFレンズ。採用するVMマウントはライカMマウントと互換性があり、ライカMシリーズに装着できる。
レンズ構成は5群7枚。異常部分分散ガラスを3枚使用して、色収差を抑制。その一方で、非球面レンズを使用せず、あえて球面収差を適度に残すことで、ボケと解像をバランスよく描写できるよう設計した。さらに12枚羽根の虹彩絞りを採用。これにより、結像面はシャープに描きつつ、アウトフォーカス部分では豊かで潤いのあるボケを生み出す。
■最近接撮影距離は最短0.5m
本製品は、距離計連動式のライカMシリーズでの使用を前提に設計され、高精度な距離計連動機構を搭載する。総金属製のヘリコイドは滑らかな操作感を実現。最短撮影距離は、距離計に連動する0.7m (装着するカメラにより異なる) からさらに繰り出すことで、0.5mに達する。
フォーカシング時にレンズ全体を繰り出すシンプルな構造を採用することで、全長54.1mmというコンパクトさを実現。これは光学式レンジファインダー使用時の撮影フレームのケラレを抑える効果もある。
■特性の異なる2種類のコーティング
「ULTRON 75mm F1.9 VM」には、レンズコーティングの異なる2製品がある。ニュートラルな色再現が得られる「マルチコーティング (MC)」とクラシカルな色調になる「シングルコーティング (SC)」の2タイプで、MCは反射防止のためのコーティングを複数回行った現代的な描写が得られ、SCはクラシカルなレンズに近い描写で、逆光時のフレアやゴーストの出方にも違いが出る。
両製品は、外装の仕上げにも違いがある。MCはモダンな印象のマットブラックペイント仕上げ、SCは光沢のあるブラックペイント仕上げを採用する。
なお、付属するアルミ製のレンズフード (ねじ込み式) とかぶせ式のフードキャップも、各外装に合わせた仕上げとなっている。
フォクトレンダー ULTRON 75mm F1.9 VM 主な仕様
マウント VMマウント
フォーカス マニュアルフォーカス (MF)
焦点距離 75mm
開放絞り F1.9
最小絞り F16
レンズ構成 5群7枚 (異常部分分散ガラス3枚)
画角 32.6°
絞り羽根枚数 12枚
最短撮影距離 0.5m
距離計連動範囲 0.7m〜無限遠
フィルター径 φ49mm
最大径×全長 φ56.8×54.1mm
質量 290g
付属品 レンズフード (ねじ込み式)、フードキャップ