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明るい光の下では決して現れてこないものを狙う 飯島勝写真集『何処へ』

飯島勝さんの写真集『何処へ』が発売された。

飯島勝写真集『何処へ』

 

飯島さんの風景を捉える感覚は実に独自だ。暗がりや薄闇の中で被写体を見つけてシャッターを切る。彼が狙うのは、明るい光の下では決して現れてこないもの。カメラは2台。「ニコン F2 フォトミックA」と、タチハラの4×5判では長時間露光を使うことが多い。

深い霧の森では夢の中で見たイメージに遭遇し、紅葉は美しく色づいたときではなく、地上で朽ちていく光景に目を奪われる。どのカットも静謐な時間が漂い、その空間の中でまどろむ。巻末の解題で明かす飯島さんの意図も興味深い。

飯島勝写真集『何処へ』

体裁 225×300mm・120ページ
価格 3,900円(税込)
発売日 2023年7月14日
発行 風景写真出版

 

飯島 勝 (Masaru Iijima)

1956年、千葉県生まれ。1977年より写真を始める。1989年に写真クラブ「フォート・樹」へ入会し、2021年に退会するまで約30年間所属。1996年「心の風景」で第4回前田真三賞を受賞。
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〈文〉市井康延