写真家の上田晃司さんとコムロミホさんによる、エプサイトギャラリー特別企画展「The Departure」が、2025年1月8日(水)より開催中です。本展の見どころをおふたりにお聞きしました。
原点は”出発時のワクワク感”
”出発”を意味する「The Departure」には、夫婦ふたりが同じ日に成田空港へ行き、それぞれが好きな場所で好きな写真を撮ることを目的に旅立った体験がベースとなっています。
様々な国を訪れ、たくさんの旅を続けているおふたりですが、いつも旅の起点となるのは”出発時のワクワク感”。そんなおふたりのライフワークの原点であるという意味に加え、2025年最初の写真展であることも少し意識をしたそうです。
「深いことは考えずに、まずは直感で撮影したい場所に行ってみよう」そんな思いつきから始まったこの旅。上田さんは常夏の島国キューバを、そしてコムロさんは極寒のフランス・パリをそれぞれ訪れました。
まずは、常夏のキューバの作品を展示している上田さんに見どころをお聞きしました。「キューバの街並みはカラフルで奥行きがあるのですが、大きくプリントしたことで、その鮮やかな色や立体感、街のディティールをダイレクトに感じることができます。シンプルに、美しいキューバの街並みを楽しんでいただきたいです」と語ってくれました。
一方のコムロさんは、パリの街並みをモノクロの額装作品として展示しています。「会場が大きいとプリントサイズも大きくしがちですが、今回はあえてプリントサイズをA4とA3ノビの2サイズ展開で見せています。鑑賞距離が近くなる分、ひとつの額装の世界に没入して作品をみることができます。さらにモノクロ作品なので、古典的な飾り方をしたいと思い、構成を考えました」と、その意図を教えてくれました。
一見すると、おふたりの作品は相反しているように思えますが、空間を巧みに生かしたふたつの展示は不思議な一体感を醸し出し、まるでおふたりの関係性を表しているかのようです。
「一度に二度楽しい!」そんな言葉がふさわしい、2025年最初の贅沢な企画展となっています。
初の試み・YouTube動画と連動し、写真展の裏側を学べる
また、本展の注目すべき点として、おふたりが運営するYouTubeチャンネル「写真家夫婦 上田家」で、写真展開催までの裏側が公開されていることも挙げられます。本来、写真展開催のその裏側はブラックボックス。今回あえて裏側をみせることにしたのは、「何か新しいコンテンツをつくりたい」という創作意欲と、普段からお店を営み、様々なお客様から聞かれるお悩み相談に応えたいという気持ちからきているそう。
筆者も計4回の動画を視聴してから展示を拝見しましたが、プロならではの展示ノウハウや普段では見過ごしてしまっていた細かい匠の技に気づくことができ、いつも以上に展示を楽しむことができました。
動画内では一部の紹介でしたが、今回の展示作品は全ておふたりご自身でプリントを行っているとのこと。これから写真展開催を目指している人や写真の額装やよりハイクオリティな作品に仕上げるためのハウツーを学びたい人には、目からウロコの内容となっています。
企画展を訪れる前の予習として動画を楽しむのはもちろん、訪れた後に復習として見返しても、新しい発見ができます。企画展を訪れる前後に、一度はチェックすることをお勧めします。
▶ YouTubeチャンネル「写真家夫婦 上田家」
https://www.youtube.com/channel/UCCJwhcZZ9YFtAXVnhXM7D9Q
そして、最後におふたりからご来場を検討している方へのメッセージをいただきました。
上田さんのコメント
普段から作品を撮っている方には、プリントをして、できれば展示していただきたいと日頃から思っています。僕たちにとっての「作品づくり」とは、写真を撮るだけではなくプリントして展示することなんです。ギャラリーという共通の空間で、作家が表現したかった色やトーン、想いなどを感じていただき、スマホやデジタルでは得られない魅力を、ぜひこの場に来て体感していただきたいです。
コムロさんのコメント
夫婦展ということで、ひとつのギャラリー空間での展示にはなりますが、まずはそれぞれの作品を楽しんでほしいです。そして、紙の種類や大きさ、展示方法など、お互いの作品の表現に対するこだわりの違いなども見ていただきたいです。今回は学べるスペースも用意しているので、作品を見て楽しんでいただいた後は、ご自身でもプリントの楽しさなどにハマってください。
1月11日(土)にはプレミアムなギャラリートーク開催
今週末の1月11日(土)には、ギャラリートークも開催されます。ギャラリー内の作品を歩いて鑑賞しながら、おふたりから直接、作品についての解説をしていただける貴重な機会となっています。予約不要・入場無料なので、興味のある方はこちらもお見逃しなく!
ギャラリートーク
日時 2025年1月11日(土)13:00 / 15:00 / 17:00(各回 約30分)
会場 エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
(注)予約不要・入場無料
さらに、本展にご来場いただきアンケートにお答えいただいた方には、オリジナルのレンズクロスのプレゼント(注)があるほか、上田家が運営する「MONO GRAPHY Camera & Art」(東京・小伝馬町)で、期間限定・特別価格のプリントサービスなども実施されるそうです。
(注)数量限定のため、無くなり次第終了
上田晃司 × コムロミホ『The Departure』
会期 2025年1月8日(水)~2月1日(土)
会場 エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
住所 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F
休館日 日曜日/祝休日
入場料 無料
上田晃司(Koji Ueda)
米国サンフランシスコに留学し、写真と映像を学び、CMやドキュメンタリーを撮影。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フォトグラファー、映像作家として活動開始。新しい技術をいち早く取り入れ、写真や映像表現に活かしている。現在は、雑誌、広告を中心に、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。講演や執筆活動も行っている。
コムロミホ(Comuromiho)
文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。またYouTube™ チャンネル「写真家夫婦 上田家」、「カメラのコムロ」でカメラや写真の情報を配信中。